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遺伝情報で病気はどこまで分かる?(上)乳がんの原因になる遺伝情報を見つける研究

4/23(火) 18:50配信

THE PAGE

 ヒトゲノム(全遺伝情報)の「解読完了」宣言から16年。今や遺伝子検査サービスを提供する会社が数多く登場し、自分の遺伝情報を知ることはかつてほど難しくはなくなりました。遺伝子検査で病気の発症リスクを事前に知り、予防や治療の選択に生かそうとする人もいます。ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが自分の遺伝子を調べ、乳がんになりやすい遺伝情報をもつことが分かったため、2013年に乳房を切除したことはまだ記憶に新しいでしょう。

【図表】(下)発症リスクを正確に捉えることに期待

 ところで、数か月ほど前、理化学研究所などの研究チームが、日本人のデータを調べて乳がんになりやすい遺伝情報を新たに多数見つけたと発表したことはご存じでしょうか。それらの中には、特に日本人の乳がんの原因となる遺伝情報も含まれています。日本人の乳がんに多い遺伝情報とはどういうことなのか。そもそも、遺伝情報から病気のことはどれほど分かるのか。それをどうやって見つけるのか。

 日本科学未来館は昨年11月に遺伝子研究者によるトークセッションを行いました。登壇した理化学研究所の桃沢幸秀氏は、まさに日本人データで乳がんに関係する遺伝情報を探した人です。このトークセッションで語られた最新の遺伝子研究について紹介します。

99%以上は同じ配列、わずかな違いが個性に

 まずは、遺伝子に関する簡単なおさらいをしよう。私たちは両親から受け継いだ固有の遺伝情報を皆それぞれにもっている。遺伝情報の実体は、細胞内にあるDNAという長いヒモ状の物質であり、そこに並ぶ4種類の塩基(ATGC)30億個の配列によって情報が決まる。この30億個の塩基からなる全遺伝情報を「ゲノム」というが、その配列は99%以上が他者と同じである。しかし、誰もがわずかに他者と配列が異なっている。多くの人では「A」となっている部分が「T」だったり、ある部分の塩基が欠けていたり、ある部分が繰り返し並んでいたりする。このようなゲノム配列の個人差のことを「遺伝子バリアント」という。

 遺伝子バリアントは外見や体質などの個性をもたらすが、同時に、病気へのなりやすさや薬の効き方などにも関わる。生まれながらにもつ塩基の並び方が病気につながることもある。ジョリーさんの場合は、ある特定の遺伝子の配列が少し多数派の人たちと違っており、その遺伝子バリアントを持つ人は乳がんになる危険性が約10倍高かった。

 30億並んでいる塩基のうち、いったいどの配列が病気のなりやすさにつながるのか。病気に関連する遺伝情報を明らかにする研究が進められている。

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最終更新:4/24(水) 19:26
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