ここから本文です

昭和の大衆食堂、平成で幕 岡山・矢掛で84年「つるはし食堂」

4/23(火) 18:24配信

山陽新聞デジタル

 “まちの大衆食堂”として愛され続けてきた岡山県矢掛町矢掛の「つるはし食堂」が、今月末で営業を終える。町中心部で計画されている道の駅の建設予定地に組み込まれ、移転を余儀なくされたことから、閉店を決意。平成の時代の終わりと共に84年の歴史に幕を下ろす。

看板の“真っ黒”おでん

 店主を務める原田雅志さん(73)の母春子さん(故人)が1935(昭和10)年に創業。矢掛商店街から続く小路を入った場所に店を構え、近くにあった弦橋(つるはし)(現在は架け替えにより移転)の名を店名に冠した。現在は雅志さんと妻美津代さん(69)、パートの多田たづ子さん(67)の3人で切り盛りする。

 昭和レトロな雰囲気が漂う店内は、4人掛けのテーブルが6卓あり、ガラスの戸棚にはいなりずしや魚の煮付けなどの一品料理が並ぶ。一番人気のメニューは、しょうゆ味のあっさりとしたスープに自家製の焼き豚、かまぼこ、もやしなどがのった中華そば。継ぎ足し続けてきただしで煮込んだ“真っ黒”なおでんも看板商品の一つだ。

「感謝しかない」

 「ここは早くてうまい。時間のない昼休みには助かる。店のお姉さん2人がべっぴんだしね」。常連の会社員山室昇さん(70)=井原市=と、造園業石川稔さん(72)=矢掛町=が笑う。自営業久野雅子さん(61)=同町=は「きつねうどんに卵を落としてもらう私だけの裏メニューが好きだったのに…。昭和の味が食べられなくなるな」とつぶやいた。

 町と県が進める道の駅整備計画により、2020年3月までに立ち退きを求められた。移転、再オープンを望む声は多いが、「創業100年を目指していたが、客足も減ってきたし、この辺が潮時かな…。平成の時代で店をたたもうと決めた」と雅志さん。「ここまで店をやってこられたのは、妻の支えがあったから。感謝しかない」と笑顔を見せた。

最終更新:4/23(火) 18:24
山陽新聞デジタル

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事