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【コラム】中国が北極にも触手を伸ばしている

4/23(火) 8:00配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 海を舞台にした覇権争いは南シナ海と海底だけではない。北極海でもまた米中がしのぎを削る。北極海に面した国土のない中国だが、「ハイノース」とカナダが呼ぶ地域での影響力増強を図る野心的な計画を推し進めている。

私が北大西洋条約機構(NATO)司令官だった当時、カナダ軍を率いていた友人のウォルト・ナティンチャイク大将にロシアのカナダ北極圏侵略を心配していないかと尋ねたことがある。大将は含み笑いをし「ジム、もし彼らが侵略を図ったら、私の任務は恐らく捜索・救助になるだろう」と返してくれた。要するに、極寒の地での作戦遂行は極めて困難だということだ。だが最近までそうした厳しい環境での経験がなかった中国が急速にノウハウを蓄え、積極的に触手を伸ばしている。

中国に北極評議会(AC)へのオブザーバー参加が認められたのは2013年。ACはカナダとデンマーク(グリーンランドを持つ)、アイスランド、ノルウェー、ロシア、米国、スウェーデン、フィンランドで構成する影響力のある国際組織だ。NATO在籍時、私は幾つかのAC会合に参加したが、中国には発言力があった。会合に出席していた中国代表団のレベルの高さには驚いた。

そして中国は今、原子力砕氷船を建造している。米国が深く考えもしなかったことだ。ロシアの砕氷船団は何隻かの大型原子力船を含め世界一だが、ロシアを除けば中国の3万トンを超える原子力砕氷船はどの国の砕氷船よりも能力がある。これが通常型の砕氷船6隻に加わるのだ。米国はと言えば、沿岸警備隊で実働している砕氷船は3隻のみ。そのうち2隻はかなり小さい。

北極圏の戦略的重要性を高めているのが海底資源と北極海航路だ。氷の下の資源埋蔵量は天然ガス2兆立方フィート、原油1000億バレルに迫るとの推計もある。こうした資源の確保に必要となる掘削装置(リグ)の設置に道を開くのが砕氷船だ。そして氷が解け出している海で砕氷船の助けを借りて新たな航路の開拓が可能となれば、北極海は中国の広域経済圏構想「一帯一路」における地政学上の要所とも成り得る。

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最終更新:4/23(火) 8:00
Bloomberg

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