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Qちゃん祝うため記者と“かけっこ”…元担当記者が小出義雄さん悼む

4/25(木) 10:02配信

スポーツ報知

 女子マラソンで1992年バルセロナ五輪銀、96年アトランタ五輪銅メダルの有森裕子さん(52)、2000年シドニー五輪金メダルの高橋尚子さん(46)らを育てた佐倉アスリート倶楽部(AC)の小出義雄代表が24日、肺炎のため千葉県内の病院で死去した。80歳だった。

 シドニー五輪で高橋さんが金メダルを取った時、スタジアムに戻った小出監督を、スタンド裏側で報道陣の一員として囲んだ。だが話の最中で突然、駆け出した。慌てて追いかけたが、記者は1人、また1人と脱落。監督は時おり振り向いてその光景を楽しそうに見て、また走った。スタンド裏を1周半、1キロ以上も走ってからQちゃんと合流した。「取ったなー!」「この日を待ってたよー!」

 叫びながら走る監督の弾む背中と、地元市民の不思議そうな顔を見ながら、当時体重100キロ近かった私は1周したところで突き放されたが一応“完走”して、監督のもとへ。「酒飲みのへっぽこオヤジも、頑張ればこんな子に巡り合えるんだよ。47年(当時)も陸上やっていれば、お天道様もいいものをくれる。高橋も、俺も、かけっこ、本当に大好きなんだ」。確かに、かけっこが好きだった…。

 バルセロナ五輪では、有森さんの健闘を期して禁煙を始めた。健康面を心配する希望をくんでくれた師匠のため、有森さんはユニホームのパンツにショートピース1箱を縫い付けて走った。銀メダル獲得後、汗でくしゃくしゃになった箱をうれしそうに受け取り「有森は神様がくれたごほうび」と喜んだ。4年後のアトランタでは、有森さんは小出監督の顔に似せた人形をパンツに縫い付けて走り、銅メダルを手にした。

 有森、鈴木博美、高橋、千葉真子…。指導法は一貫せず、それぞれの特徴を生かして育てた。ただ、選手と一緒に喜んだり、悲しんだり「かけっこ」が好きなことだけは同じだった。(89~97年陸上担当・谷口 隆俊)

最終更新:4/26(金) 15:57
スポーツ報知

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