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ポルシェ 964RS vs ニッサン スカイライン│因縁の対決、再び

4/24(水) 18:06配信

octane.jp

まだ国産車の製造技術が世界的に認められていなかった時代に、スカイラインというブランドは一度だけポルシェにレースで勝ったことがある。因縁の対決が、再び繰り広げられる。

ポルシェ911は約半世紀にわたって、幾多のライバルとその地位を争ってきた。しかし、911のスポーツカーとしての純血ぶり、時代錯誤にも思える変わらぬデザインに敵うものは数少ない。そんななか、日産スカイラインGT-R(R32)は最新テクノロジーを満載して、真っ向勝負を挑んだ車である。新車時はイギリスに正規輸入されなかったこともあり、この2台が同じ土俵に上がったことはない。しかし、両車のサーキット血統、特徴的なドライビング・ダイナミクス、そしてカルト的地位はデビューから20数年が経った今こそ、見直されるべき戦いかもしれない。

1992年、911(964型)のラインナップに「カレラRS」が加わった。"純粋なレーシングモデル" であることを意味する「RS(レンシュポルト)」はル・マンやミッレ・ミレアなどを戦うレーシング・ポルシェに付けられていた。初めて市販ポルシェにこの名前が冠されたのが「ナナサン・カレラ」の通称で親しまれている、73年式911カレラRSだ。

当時の911カップカー同様、パワーウィンドウ、パワーステアリング、エアコン、吸音材、カーペットなどといった快適装備を省き、各ウィンドウのガラスは薄くなっている。フロントフードはメタルからアルミになったほか、リアシートは取り払い、フロントはレカロ製バケットシートが奢られている。結果として車重はカレラ2よりも約10%軽い1230㎏になった。車高は40㎜下げられていて、強化スプリングとスポーツショックアブソーバーが新たに組み込まれた。ブレーキはフロントがターボから、リアがレースモデルのカップカーからの流用となっている。

カレラRSには最近のRSモデルのようなエアロパーツは一切なく、レースマシンとしての道具、コックピットには"仕事場" のような潔さが漂う。言うなれば、古き良き911らしさでもある。ダッシュボードの"奥行" が短く、フロントウィドウから乗員までの距離が近い。パワーアシストなしのステアリングホイールから伝わる路面状況、批判が集中した路面の凹凸を忠実に拾う足回り、どれをとっても特別な感じが漂う。90年代の車なのに、クラシカルな雰囲気たっぷり。

中古車相場は"時価" なので、振り返ることに大した意味はない。ただ、事実としてカレラRSは5~6年前まで3万ポンドほどで買えた。おそらく新車時の"足回りが硬すぎる" とやや批判めいた評価がユーザーを敬遠させてきたのだろう。そういう意味では自動車メディアのネガティブ評価に感謝すべきかもしれない。だが、さすがに昨今のネオクラシック相場高騰の流れにいつまでも取り残されるわけもなく、今では倍以上する。

アイドリングは愚図りこそしないが、昨今の水冷エンジンに比べるとスムーズとはいえない。また、超軽量のシングルマスフライホイールのおかげで、クラッチを踏んでいないかぎりカラカラと音がする。良い意味でカレラRSの"生き物" っぽさが強調され、昔ながらのポルシェ好きを魅了してならない。アクセルを踏み込むと、3.6ℓ水平対向エンジンは7000rpmまで一気呵成に吹け上がる。アクセル踏み込み量、エンジン吹け上がり、そしてスピードは自然吸気エンジンならではの正比例ぶりは快感だ。また、カレラRSが採用しているカップカー用のエグゾーストは、911史上最高峰の良音を満喫できる。最近の"ホットハッチ" はカレラRSよりも馬力もトルクも勝っていることが多々ある。それでもまったく見劣りしない加速性能が味わえるのは、軽さがもたらす恩恵だ。

964型を操る面白みは、スリルと隣り合わせであることに尽きる。昨今の911よりもエンジンがリアにあることがドライバーに伝わってくるのだ。乗り心地は前評判通り、硬い。ステアリングホイールからも、シートからも、路面状況が伝わってくる。RR特有の走りはコーナリング中、ステアリングをさほど切ることなくリアがムズムズする限界を味わいながら、アクセルコントロールで思い通りにコーナーを駆け抜けられることだ。現代の車ではなかなか味わえないスリルであり、スカイラインGT-Rとは対局にある。

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最終更新:4/24(水) 18:06
octane.jp

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