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家族3人が消えた日

4/24(水) 5:32配信

九州朝日放送

想像してみて欲しい。
ある日、突然家族3人を同時に失うということを―

ひとりは、待ちに待って産まれた1歳の初孫。
ひとりは、自分をいつも気づかってくれる26歳のひとり娘。
ひとりは、長年連れ添った最愛の妻。

絶望の中から光を見出そうとする男性は福岡県で暮らしていた。

何のために生きるのか…

渕上洋さん(67歳)は福岡県朝倉市で30年以上、梨農園を営んでいる。

洋さんは2017年7月5日に発生した九州豪雨で妻の麗子さん(当時63歳)、一人娘の由香理さん(当時26歳)、初孫の友哉ちゃん(当時1歳)の3人を失った。福岡・大分両県で死者、行方不明者42人に上る大惨事が家族の平穏な日常を飲み込んだ。

何のために生きるのか、考えても答えの出ない日々。

洋さんは何かを振り払うかのように仕事に打ち込んだ。

“ふるさと”を史上最大級の豪雨が襲った

渕上洋さんが暮らしていた朝倉市黒川は、朝倉市の中で最も山間にある集落で100件ほどの家が軒を連ねている。

自然豊かな場所で夏になるとたくさんの蛍がでることで有名だった。洋さんの自宅はその黒川の中でも特に大きな家だった。

2017年7月5日の昼過ぎから朝倉市では激しい雨が降り続いた。見る見るうちに川が溢れ、それを見た住民たちは避難を始めた。

「あんなに大きな家が倒れるなんて」

黒川に住む女性は避難をする途中、洋さんの自宅を訪ねている。「公民館に避難しようと思って、渕上洋さんが区会長をしていて鍵を持っていたから鍵を借りに行きました。そのときに奥さんと娘さんとお孫さんと会ってそれが最後でした。もし、3人に『一緒に避難しませんか』と言っても多分来なかったと思います。なぜかと言うとあんなに大きな家が倒れるとか、全壊するとか思いもしなかったですもん。」

渕上洋さんの家の横には「松尾川」という幅2mほどの小さな川が流れていた。

そして夜の8時半ごろ、上流で流木などによりせき止められていた松尾川が決壊する。

流木や岩が洋さんの家を直撃し、1階部分が完全に押しつぶされた。

あの日、黒川に降った雨は9時間で774mm。日本の観測史上最大の雨量だ。

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最終更新:4/24(水) 9:40
九州朝日放送

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