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蔦屋家電「月額制で稼ぐ」の勝算

4/24(水) 11:22配信

ニュースイッチ

リアル店舗の強み、データビジネスに生かす

 来店客に家電商品の説明を尽くしても、最後はより安価なネット通販で買ってしまう。自分の価値は一体どこにあるのか―。蔦屋家電エンタープライズ(東京都世田谷区)商品企画部に所属する木崎大佑蔦屋家電+プロデューサーは、家電量販店の販売員だった10年ほど前、強い焦燥感を抱いていた。メーカーから製品を仕入れて販売する量販店のビジネスモデルに限界を感じ、危機感を募らせた。一方、それは接客の価値を最大化する新たなビジネスモデルを模索する出発点でもあった。

 蔦屋家電エンタープライズは4月上旬、東京・二子玉川の家電店「二子玉川・蔦屋家電」の一角に次世代ショールーム型店舗と銘打った「蔦屋家電+(プラス)」を開設した。商品化前を含む最新の製品を展示して来店客のマーケティングデータをメーカに提供し、その対価をもらい受ける。製品は仕入れず、データ取得が可能なスペースを月額制で貸すイメージだ。家電店の「サブスクリプション」といえるこのビジネスモデルは、木崎プロデューサーが販売員時代に抱いた危機感を解消するための答えだ。

 蔦屋家電+では現在、料理を彩る映像を表面に映し出せるお皿や1枚焼きのブレッドオーブンなど約30点の商品が並ぶ。国内電機メーカー大手や海外メーカー、ベンチャーの最新製品などを展示する。発売前やクラウドファンディングを実施中の製品もある。木崎プロデューサーは「面白い技術など『とがった』特徴を持つ製品を揃えた」と説明する。展示した製品の購入希望者に対しては販売の手続きをとるが、それ自体は収益機会ではないため、大きな売り上げを見込みにくいニッチな市場を狙った個性的な製品も並べられる。蔦屋家電では「美術・博物・万博」を品揃えのコンセプトにこれまでも個性的な製品を扱ってきたが、蔦屋家電+ではその特徴をより際立たせられるというわけだ。

 収益源となるマーケティングデータは、接客と人工知能(AI)を活用した画像認識システムで取得する。製品ごとに関心を持った来店者の属性や関心度合いなどのデータを蓄積する。具体的には店内に設置したカメラの画像を即座に性別や年代など属性の推定データに置き換え、滞在時間も取得する。カメラ画像は即座に削除し、個人情報にならない形で蓄積する。接客による会話で得たデータもスタッフが随時更新。出店企業はインターネット上の管理画面でこれらのデータをいつでも確認できる。

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最終更新:4/24(水) 11:22
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