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「民泊」より都市型コンドミニアム パナソニックが宿泊事業に本格参入する理由

4/25(木) 21:32配信

ITmedia NEWS

 パナソニック ホームズは4月25日、宿泊事業に本格参入すると発表した。高まるインバウンド需要を背景に、宿泊施設として設計した多階層の工業化住宅(多くの部分を工場で作る建物)を30年間一括借り上げのスキームと組み合わせ、土地オーナーなどに売り込む。2019年度中に13棟の受注を目指す。

簡易宿所と民泊の違い

 パナソニック ホームズが「初の非住宅事業」という通り、いわゆる「民泊」(民家に宿泊するサービス)用途ではない。訪日外国人旅行客の受け皿として期待された民泊は、昨年6月に施行された住宅宿泊事業法(民泊新法)で新築投資マンションの転用が不可となり、営業日数を年間180日以内に制限する(特区を除く)など大幅に規制が強化された。条例で営業日数をさらに短くする自治体も相次ぐなど、急増する“民泊トラブル”を背景に行政がブレーキをかけた格好だ。民泊仲介大手のAirbnbが掲載物件の3割に当たる約2万2000件を一斉削除した「エアビーショック」も記憶に新しい。

 一方、民泊新法と同時に施行された改正旅館業法では逆に規制緩和を進めた。同法では、それまで旅館とホテルに分かれていた営業種別を「ホテル・旅館」に統合した他、多人数でも宿泊できる構造と設備を持つペンションやユースホステルなどを「簡易宿所」、1カ月単位で宿泊できる「下宿」と3つの業態に分類。簡易宿所については、住居専用地区では営業できないものの、テレビ電話などを活用する本人確認を条件にフロントがなくても営業できるなど新規参入のハードルを下げた。

 「フロントがないということは、無人でも経営できるということ。民泊の規制が論じられていた裏で規制緩和があった。われわれはそこに取り組む」(パナソニック ホームズ特建・多層階事業企画部 事業推進センターの榎本克彦所長)

一括借り上げのサブリーススキームを用意

 土地オーナーに対しては、子会社のパナソニック ホームズ不動産を通じて最大30年間の一括借り上げ(マスターリース)契約を交わし、その上で提携運営事業者へ10年単位でサブリースするスキームを用意した。運営は、提携事業者の百戦錬磨(仙台市)とスクイーズ(東京都港区)が請け負い、パナソニック ホームズは収益の一部を受け取る。10年後にはインバウンド需要の状況をみて、場合によっては賃貸住宅への変更も可能だ。

 専用設計となる多階層工業化住宅「Vieuno Stay」(ビューノステイ)は最高9階建てで、建設費の目安は4億円程度。賃貸への転用も見据え、キッチンやバス、リビングを備えた1LDKプランを中心に、「家族がそろってくつろげる“都市型コンドミニアム”の宿泊スタイルを提案する」(榎本氏)。また、工業化住宅ならではの短工期を生かし、「今から建てても東京オリンピックに間に合う」としている。

 日本ホテル協会の調査によると、都内にあるホテル1万8581室では、一人部屋と二人部屋(ツイン/ダブル)が98.5%を占め、三人以上で宿泊できる部屋はわずか1.5%。多人数で宿泊できる簡易宿所は、これまでホテルの部屋を複数予約しなければならなかった家族連れ旅行客などの需要が期待できる。

 宿泊客は、AirbnbやBooking.comといった民泊仲介サイトで予約する。客室には次亜塩素酸を活用する脱臭機「ziaino」(ジアイーノ)やナノイーX搭載エアコンなどパナソニック製品を導入。美容家電を並べた専用の部屋を設け、体験型ショールームとしても活用する。

 「欧米の旅行客は平均5.8日と宿泊日数が多い反面、事前に具体的な旅行プランを練っていないケースも多い。今後は日本ならではのコト体験ができるオプショナルツナーなどを企画していきたい」(榎本氏)

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最終更新:4/25(木) 21:32
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