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売り上げ1兆円突破、アドビがサブスク化に成功した理由。幹部が語った「データ重視経営」の核心

4/25(木) 20:12配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

Experience Cloudで「従業員の評価手法」を変えるビジネス

実はこのユーザー数の大幅な増加こそが、アドビの社内、つまり従業員がCreative Cloudへの移行を支持するようになる鍵だったという。

従来の永続型ライセンスの場合には、売り上げのほとんどは新バージョンの投入時に集中する。そこに大きな山があり、そこから徐々に減っていき、次期バージョン発売時のアップグレードクーポンのバンドルで最後に少し盛り上がって終了する。これが基本的な販売サイクルだ。

この場合のKPI(Key Performance Indicator、企業などで従業員やチームが実現すべき目標となる数値のこと)に関して「従来は“アップグレード率”と“永続ライセンスの売り上げ”だけがKPIだった」とラムキン氏。

しかし、サブスクリプション型に移行すると、そのKPIは利用できない。サブスクリプション型では契約期間中であれば無償でアップグレードできるし、永続ライセンスはなくなるので、その売り上げという数値もなくなるからだ。

「ユーザーに接触するポイントすべてにKPIを設定できるDDOM(Data-Driven Operating Model)という考え方を導入した(データ重視型の評価指標に切り替えた)。

Creative Cloudに興味を持ってアドビのウェブサイトを訪問するユーザーがどこから来るのか。体験版をダウンロードしたユーザー数、その体験版から有料プランへ移行したユーザーは何パーセントなのか。もちろん、契約中のユーザーが更新した割合は何パーセントなのかなどにもKPIを設定している」(ラムキン氏)

アドビがこうしたシステムを実現できている背景には、アドビが提供するデジタルマーケティング支援ツール「Adobe Experience Cloud」を自社でも使っているという背景がある。

ラムキン氏が言うDDOMは、アドビCEOのシャンタヌ・ナラヤン氏が、3月末に行われたAdobe Summitでも多くの時間を割いて説明した、Adobe Experience Cloudの最も基本となる部分だ。データドリブン型の経営が今、アドビだけでなく多くの企業で注目されている。

このAdobe Experience CloudのDDOMを自社経営にも適用していくことで、CEOやラムキン氏のような経営幹部だけでなく、現場の担当者レベルでも、現在会社でどのようなことが起きているのか数字で一目瞭然となる。

アドビはAdobe Experience CloudをテーマにしたAdobe Summitにおいて、「企業のデジタルトランスフォーメーション」を盛んに訴えている(Adobe Summitではデジタルトランスフォーメーションで蘇った企業として米家電量販大手のベストバイのCEOなどが登壇した)。

興味深いのは、デジタルトランスフォーメーションの推進者であるアドビ自身が、(Creative Cloudのビジネスを通じて)その最大の恩恵を受けている1社だということ。そして、いまなおこの方針がアドビの快進撃を支えているのだ。

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最終更新:4/25(木) 20:12
BUSINESS INSIDER JAPAN

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