ここから本文です

「会社員消滅時代」到来? 令和時代の“自由な働き方”に潜む落とし穴

4/26(金) 8:00配信

ITmedia ビジネスオンライン

政府が提示した「幸せな働き方」の未来

 今からさかのぼること2年半前の2016年(平成28年)8月3日。第3次安倍第2次改造内閣が発足し、働き方改革担当大臣が誕生しました。実はその前日、厚生労働省のWebサイトに、私たちの「未来予想図」となる報告書が掲載されたことはあまり知られていません。

 報告書のタイトルは、「『働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために』懇談会 報告書」。従来の枠組みにとらわれずに、20年先を見据えて「働き方」について議論することを目的として同年1月に発足した、厚労省の「働き方の未来2035」懇談会の政策提言書です。

 この報告書で2035年の「幸せな働き方」の前提となっているのが、VR(仮想現実)やAI(人工知能)による技術革新です。

 報告書によると(抜粋し要約)、

 「最新技術を最大限に働き方に生かせば、どこでもいつでも、場所に拘束されることなく働けるようになり、工場のように、実際にその現場に人がいなければならない作業はロボットがやるようになる。その頃には人口が大幅に減少し、人手不足が一段と深刻になるが、AIなど科学技術の発達で自動化・ロボット化が進み、介護や子育て、家事などの負担から働く人が解放される」

 「健康管理のシステムにより要介護状態になる前に十分な予防的措置がなされ、かつ介護ロボットの導入で介護負担の大きな改善が想定される。施設に入れなくても、自宅で遠隔の安全管理システムが見守りを行ったり、移動ツールによって要介護者の外出が容易になるなど、働く人の負担は大きく軽減されているだろう」

 ……とのこと。

 既にこの段階で、私の脳内のサルやらウサギやらタヌキが「おいおい! ちょっと待て!」と暴れまくっているのですが、報告書の神髄はこの先にあります(内容を抜粋し要約)。

【長時間労働について】

・同じ空間で同時刻に共同作業することが不可欠だった時代は、そこに実際にいる「時間」が評価指標の中心だった。だが、時間や空間にしばられない働き方への変化をスムーズに行うためには、成果による評価が一段と重要になる。その結果、不必要な長時間労働はなくなり、かつ、是正に向けた施策が取られるようになる。

【会社との関係】

・空間と時間を共有することが重要だった時代は、企業は一つの国家やコミュニティーのような存在だったが、2035年の企業は、ミッションや目的が明確なプロジェクトの塊となる。プロジェクト期間が終了すれば、別の企業に移動する形になっていく。その結果、企業に所属する期間の長短や雇用保障の有無等によって「正社員」や「非正規社員」と区分することは意味を持たない。
・兼業や副業は当たり前になる。一つの会社に頼り切る必要もなくなるため、不当な働き方や報酬の押し付けを減らせる。

【働きがい】

・「働く」ことが、単にお金を得るためではなく、社会貢献や地域との共生など、多様な目的をもって行動することができる社会になる。
・それぞれが自分の得意なことを発揮でき、自立した個人が自律的に多様なスタイルで「働く」ことが求められる。そのために、必要な能力開発や教育が、どの世代に対しても十分に行われ、社会貢献も含め、多様な自己実現の場が提供されている。

【セーフティーネット】

・2035年においては、複数の仕事をすることが当たり前になっていくことで、失業から生じるリスクはある程度低下させることができる。
・セーフティーネットの基本は、キャリアアップ、キャリアチェンジのための充実した職業教育である。セーフティーネットは、最終的に国が責任をもって提供するとしても、民間の創意工夫による適切な保険の提供という形でできるだけ行われることが望ましい。

【自立した個人】

・2035年には個人が、企業や経営者との対等な契約で、自律的に活動できる社会に大きく変わる。
・自立した個人が積極的に活躍できる社会では、教育の在り方も早急に見直される。
・自立するための教育とは、「好きで得意な道選び」を実現するための教育である。

 ……さて、いかがでしょう?

2/3ページ

最終更新:4/26(金) 12:18
ITmedia ビジネスオンライン

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事