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適当にあしらわず時間がある時ゆっくりと話を聞いてあげる【これで認知症介護は怖くない】

4/26(金) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

【これで認知症介護は怖くない】(12)

「何度も同じことを聞くんです。それも数分おきにです。なんとかなりませんか」

 認知症になった母親を介護している女性からこんなことを聞いた。時間や今日の日付、食事のことなどが多いそうだ。介護する家族にはたまったものではないが、どうして繰り返し質問するのだろうか。まず、母親になったつもりで考えてみる。

 先ほど尋ねたはずなのに、何を尋ねたのか忘れてしまった。大事なことだったらどうしよう。迷惑をかけるのではないか? やっぱり聞いた方がいいだろうか? よし、思い切って聞いてしまえ、と決断して息子に聞いたのが今日の日付だった――。

 当事者でなくても、私たちだってそういうことはたまにあるはずである。それがたびたび起こると、本人も不安でいてもたってもいられない。大切なことを忘れてしまったのではないかと思うと、気がかりで落ち着かないだろう。だから何度も聞くのだ。

 ところが尋ねられた家族は、同じ質問を何度も聞かされるので、また始まったとばかりに邪険にする。

「いい加減にしてよ。さっきも言ったでしょう? 私は忙しいんだから」

 これでは当事者もムッとして気分もよくないはずだ。鬱憤も積もり積もれば爆発するかもしれない。

 日にちを気にするなら、大きなカレンダーに予定を書き入れ、終わった日に×印をつけておけば分かることもある。認知症の人によってはアナログ時計が読めない人もいるから、その時はデジタル時計に替えればいい。肝心なことは、適当にあしらわず、時間があるときにゆっくりと話を聞いてあげることだ。性格にもよるが、意外に話をするだけで安心する人もいるし、何に困っているかが分かれば対処することもできる。

 私たちと同じで、いい加減に扱われていないことが分かれば不安は消えるはずである。

(奥野修司/ノンフィクション作家)

最終更新:4/26(金) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

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