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【平成の事件】主犯少年、報道された「凶悪性」の裏に「弱さ」 川崎中1殺害事件が問う少年法

4/26(金) 10:00配信

カナロコ by 神奈川新聞

 少年法が岐路に立つ。適用年齢を現行の20未満から18歳未満に引き下げるか否か、検討が続いている。発端は、2015年2月。川崎市の多摩川河川敷で中学1年の男子生徒(13)が17~18歳の少年3人に殺害された事件だった。過熱した報道は、少年犯罪の「凶悪化」を印象づけ、厳罰化の世論をあおった。少年の素顔を追うと、反して、攻撃的な犯人像と対局にある「弱さ」が浮かんできた。(神奈川新聞記者・川島秀宜)

 面前の実像と、伝え聞いていた犯人像に、臨床心理士の須藤明さん(60)は大きな乖離(かいり)を見ていた。2015年8月、横浜拘置支所の面会室。男子生徒を殺害した主犯少年の情状鑑定を弁護人から引き受け、アクリル板越しに向き合った。

 カッターナイフで執拗(しつよう)に切りつけた少年の攻撃性が連日、報道されていた。妻に「大丈夫なの?」と身を案じられた。

 「かたくなだな」。少年の印象はむしろ、「防衛的」だった。生い立ちや内心に質問を向けると、はっきりと返答を拒まれた。4カ月で、計9回12時間に及んだ面会。大人に対する不信感と、極めて狭い人間関係で形づくられた虚勢が浮かんだ。そこにあったのは、「弱さ」だった。

 行きつけの中華料理店の隅でひとり、キュウリのあえ物をつまみながら瓶ビールをあおる。地元の先輩が現れると、ばつが悪そうに肩をすぼめた。小中学校で2学年先輩だった男性2人は、少年の性格は「卑屈」なものだったと口をそろえる。「不良になりきれないから、そのまね事をしていた」

 母親はフィリピン出身。その出自から、いわれなき中傷を受けた。父親からしつけの延長で殴られ、強い者に屈服した。そうした幼少からの劣等感と屈辱が、逆恨みから暴力と化し、年少の男子生徒に転嫁されたと、須藤さんは読み取った。16年2月の横浜地裁判決は、この鑑定内容をおおむね酌み取り、殺意の形成に成育環境に由来した「年齢不相応な未熟さ」が影響していると結論づけた。

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最終更新:4/26(金) 18:16
カナロコ by 神奈川新聞

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