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【平成の事件】主犯少年、報道された「凶悪性」の裏に「弱さ」 川崎中1殺害事件が問う少年法

4/26(金) 10:00配信

カナロコ by 神奈川新聞

「凶悪化」になびいた世論、少年法に矛先

 「少年事件が非常に凶悪化している」。事件から7日後、少年3人が殺人容疑で神奈川県警に逮捕されると、自民党の稲田朋美政調会長が言い放った。矛先は、少年法に向けられた。「犯罪を予防する観点から、少年法が今の在り方でいいのか課題になる」。厳罰化を望む世論は、一挙に高まった。

 その3カ月後、自民党の特命委員会が事件現場を視察した。今津寛委員長は「できるだけ早く結論を出したい」と少年法の見直しに勇み足だった。「凶悪犯罪については、少年法は必要がないのではないでしょうか」。男子生徒の父親の問題提起が続いた。

 事件半年後に内閣府が実施したアンケート調査によると、少年の重大事件が「増えている」と答えた割合は8割近くに達し、5年前の調査より微増していた。「増えている」と感じる少年事件については、半数近くが「凶悪・粗暴化したもの」と答えた。

 反して統計上は真逆に推移していた。犯罪白書によると、少年事件は10年前の3分の1ほどに減少し、殺人のような凶悪事件も半減した。民意との落差はなぜ生じたのか。「メディアの影響が大きい」と、元小田原少年院長の八田次郎さん(74)=名古屋市=は指摘する。

 日増しに過熱する報道は、男子生徒を全裸で真冬の多摩川を泳がせ、トイレで衣服を燃やして証拠の隠滅を図った経過を次々と明らかにしていった。一方、後の公判で認定されない誤報まがいの見立ても飛び交う。「複数の刃物を使用か」「結束バンドで拘束し殺害か」「草むらに遺棄し発見回避か」といったように。

 八田さんは問う。「報道合戦の結果、事実以上の凶悪な犯人像が形づくられた。メディアは知らぬ間に社会不安をあおっていなかったか」

 17年2月、金田勝年法相は、少年法の適用年齢を18歳未満に引き下げるか否か、法制審議会に諮問した。16年6月に選挙権年齢を18歳以上に引き下げる改正公職選挙法が施行され、18年6月に18歳を成人とする改正民法が成立した。少年法の見直しは、この潮流を汲む。須藤さんは「法の趣旨がまるで違う。年齢を合わせる必然性はどこにもない」といぶかる。

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最終更新:4/26(金) 18:16
カナロコ by 神奈川新聞

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