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「警察の仕事は”不偏不党”」自身も交通事故で息子を亡くした元警察官がネットの”上級国民”批判に反論

4/26(金) 14:00配信

AbemaTIMES

 「旧通産省・工業技術院の飯塚幸三元院長」と「バスを運転していた大野二巳雄容疑者」。

 東京・池袋で乗用車が暴走、12人が死傷した事故。そして神戸市の繁華街でバスが暴走し、8人が死傷した事故。この2つの事故をめぐって警察やメディアの扱いが分かれていることから、ネット上には「“上級国民“だからって忖度されまくりですか」「逮捕せず任意で事情聴取。“上級国民“だと扱い違うんですね」「神戸市営バスの運転手は現行犯逮捕で“容疑者“。池袋は逮捕されず、“さん“。この違いってなに?」という批判の声が高まっている。

 この「上級国民」とはネットスラングの一種で、東京五輪エンブレム盗用騒動の際(2015年)、デザインの専門家が「一般の方々には…」と発言したことへの反発から「2ちゃんねる」などで拡散した、“特別な国民“の存在を想定して揶揄する言葉だ。

 しかし交通事故を巡る裁判にも詳しい坂口香澄弁護士は、池袋の事故について「死亡事故の場合は逮捕される場合が多い。今回、逮捕されていないのは運転者が負傷していることも大きな要因」「死亡事故の場合でも実刑が付かない場合が多いので、逃亡の可能性が低くなる」「客観的な証拠は警察が押収している。証拠隠滅が困難」との見解を示している。

 元宮城県警の交通警察官で、現在は日本交通事故調査機構の代表を務める佐々木尋貴さんは「裁判官から令状をもらわなければいけない通常逮捕、現行犯逮捕、そして緊急逮捕と、逮捕には大きく3つがある。交通事故の場合、まさに犯罪が行われた現場に犯人とその被害者がいる状況になるので現行犯逮捕が可能になる。しかし警察官が到着する前に搬送されていることはざらだ。そうなると、警察官としては現行犯逮捕ができなくなるので、治療が終わった段階で必要であれば裁判官から令状をもらい、通常逮捕の形を取る」と説明。

 その上で「池袋の事故と神戸の事故の大きな違いは、犯人自らがケガを負っていたかどうかだ。事案の重大性というのもあるので、通常であれば現行犯逮捕されていたと思う。警察署の留置場では治療することはできないし、容態が変化するかもしれない人の身柄を現場で逮捕し、拘束しておくのは正しいことではない。悪いことをしたんだから留置場で苦しめばいいというのは、ルールに基づいた捜査ではなく報復だ。ご遺族をはじめ、多くの方々がなかなか理解できないことかもしれないが、やはり犯人であっても治療を優先させる。また、捜査というのは任意が基本なので、あえて逮捕して身柄を拘束する必要がなければしないという考え方がある。だから今の段階では任意捜査が進んでいくのは当然だと思うし、警視庁の対応は当然だ。今回の事故についても、ケガの回復を待ってから改めて裁判官から令状をもらい、逮捕状を執行し、逮捕して警察署に連れてくることは可能だ。しかし、その前に捜査が終わるのであれば、逮捕されない可能性もある」とした。

 実は佐々木さん自身、9年前に当時18歳だった息子を交通事故で亡くしている。

 「もちろん警察は遺族の気持ちを汲み取るべきだと思うが、基本的に警察官の仕事は“不偏不党“と言われる通り、被害者の味方でもなく、犯人の味方でもない、という考え方でしかできない。あくまでも悪い人を追いかけることであって、被害者を救うことではないので、犯人を捕まえることによって被害者が救済されるだろう、という考えの方が近いかもしれない。私も息子を事故で亡くしたときにはじれったい気持ちがあったし、だからこそ警察に残ったままでは自分の考えで息子の事故を処理することはできないのではないかと思い、辞職した。それでも現場の警察官が手心を加えよう、なんてことにしたら大変だ。上級官庁であれなんであれ、やはり逮捕するものは逮捕するし、処分を甘くするくらいなら、“署長、あなたがやってください“と言った方が、現場にいる人間ははるかに楽なはずだ」と話した。

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最終更新:4/26(金) 18:39
AbemaTIMES

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