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平成ゲームメモリアル第6回(前編)「平成終盤に輝いたゲームシーンとは?国内e-Sportsやバトロワゲームなど振り返る」

4/28(日) 21:00配信

Game Spark

2019年4月30日には終わってしまう平成。連載「平成ゲームメモリアル」は”平成”に発売されたゲームとそのムーブメントを体験を通じて各ライターの過去の体験を掘り起こし、「あの時代あんなことがあった」と振り返る座談会です。これまでゲーム分野における平成31年間を5年刻みでプレイバックし、前回の第5回は、2010年から2015年までの間に起こったインディーゲームの勃興や、Free-to-Play形式のゲームタイトルの普及などについての思い出などを振り返りました。

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いよいよ最終回となる第6回は、バトルロイヤルゲームの流行や日本のe-Sportsの盛り上がり、VR/AR/MRゲーム、ニンテンドースイッチの発売など2015年ごろから現在までのゲームシーンを振り返る内容です。印象深い直近の出来事ということで座談会がヒートアップし、文字数も4万字近くになったため前後編に別けてお届けします。かなりの長文ですが是非最後までお付き合いください。


座談会「平成ゲームメモリアル」は第1回から今回の第6回を合わせて以下の内容で時代を振り返りました。

平成ゲームメモリアル―第1回「30年前はゲーム少年だったおっさんたちが体験した不朽の名作たち」平成ゲームメモリアル第2回「本当のゲームハード戦争の時代を話そう―“ハードが無くなる”トラウマ」平成ゲームメモリアル第3回「インターネットにつながり始めた時代―PCゲームの潮流」平成ゲームメモリアル第4回「洋ゲーの衝撃―日本のゲーム業界に激震が走った」平成ゲームメモリアル第5回「2010年代の大変化って?ーSteam・インディーゲーム・基本無料」


G.Suzuki 今回司会を務めさせていただくミリタリー系ゲームが好きなライターのG.Suzukiです。第6回はここ5年近くの話題がメインとなりますが、思い返してみても色々な事があったと思います。

SHINJI-coo-K ヒップホップジャンルの作曲業とフリーランスゲームライターの兼業家SHINJI-coo-K(池田伸次)です。(※以下SHINJI-coo-K)Game*Sparkでは主に特集執筆やこういった座談会に出席させて頂いており今回の連載座談会ではレギュラーメンバーとして参加させていただいています。とうとう最終回で、この直近5年間を語れるということでわくわくしていますがよろしくお願いします!

葛西祝 ジャンル複合ライティング業者、葛西祝です。新年号「令和」に変わる直前に、平成のゲームを締めくくる座談会の最終回を行うのはしみじみしますね。

キーボード打海 Game*Spark編集部のキーボード打海です。平成元年生まれで『ストリートファイター』シリーズのリュウ、マーシャル・マクルーハンと同じ誕生日です。最近はGame*Sparkレビューや中華ゲーム見聞録、ギャルゲー百人百景などをメインに特集記事の編集をやってます。個人的に一番力を入れているのは「文章書く彦のハードコアゲーマー占い」です(最近お休み気味ですが)。

■平成終盤を語る前に―PS3/Xbox 360世代のゲームシーン

G.Suzuki ありがとうございます。それでは進めていきましょう。まず、2014年の出来事を振り返る前に、前回で触れられなかったゲーム方面のストーリーテリングやゲームシステムの傾向に関して、2007年から2014年までをざっと振り返って見たいと思います。

2007年は『Call of Duty 4: Modern Warfare』や『Half-Life 2: Episode 2』を筆頭とした人気タイトルの続編がマルチプラットフォームで展開され新しいゲーム勢力図が形作られたようにも思います。また2008年には、『GTA IV』や『Fallout 3』が発売されており、FPSといったシューターだけでなく、オープンワールドとRPGに関しても国産タイトルと比較されるようになったと思いました。


当時自分は、PCで発売されなかった『BFBC』を尻目に『BF2』と『BF2142』をプレイしつつ、『CoD4』などシュータータイトルをメインに遊んでいましたね。皆さんは2007年から2008年当時どんなタイトルを遊んでいましたか?


葛西祝 オープンワールドが世界最先端だ!って見られていた時期でしたよね。自分は著名なメーカーよりも、中小メーカーがオープンワールドに挑戦していたことが面白かったですね。


たとえばグラスホッパー・マニファクチュアの『NO MORE HEROES』ではさびれた街ひとつがそのままオープンワールドとして登場し、殺し屋稼業を行う日常がどんな感じかを体験できたり、『新宿の狼』では刑事として、「勘」を使って街で犯罪者を探すなど、泥臭く活動できたりするのが印象深かったですね。『GTA』シリーズにはまったくかなわないんですけど、独自の体験を形作っていたんです。

SHINJI-coo-K そのくらいの時期は『Fallout 3』にMODを入れて延々と遊び続けていましたね。ちょっと特殊なタイトルでは『ザ・シムズ2』をプレイしてて、それもまたMODフレンドリーなゲームだったので自分好みの遊び方でやっていました。名前くらいは知っている、くらいの印象の方はご存じないかもしれませんが、『Fallout 3』も『ザ・シムズ2』もマニアックでハードコアな遊び方ができちゃうんですよ。それもMODがあるゆえにですが、色んな縛りを設けてどっぷりって感じで遊んでいました。


キーボード打海 2007年~2008年はちょうど人生の中で最もゲームを遊んでいない年代だったので、正直言って「リアルタイムで遊んでいた新作」というのが思いつかないです……。2005年にリリースされたPS2ソフト『絢爛舞踏祭』と『忍道 戒』を飽きずに延々やり込んでいた記憶はあります。やりようによっては無限に遊べたので。

SHINJI-coo-K 人生の中でゲームから離れる時期ってありますよね。また戻ってくるかどうかでだいぶ後のライフスタイルも変わってくると思いますし。

G.Suzuki 自分は、その2008年から2009年ぐらいは、洋ゲー新作の情報をネットを入手し、『Fallout 3』や『Call of Duty: Modern Warfare 2』などの新作を多く買っていました。

一方でローカルなPCゲームコミュニティも作れられていたので、そこに入りながら『Ghost Recon Advaced Warfighter』といった最新タイトルだけでなく『SWAT 4』を含めた旧作のCo-opなどをよくプレイしていました。特に『SWAT 4』はボイスチャットをしながらプレイすると、プロフェッショナル感が醸し出されて、とても楽しかったですね。

また2009年には『GTA IV』も買ってマルチプレイでコミュニティの皆とリバティーシティーをツーリングしていました。一方で『GTA IV』のシングルもプレイしたのですがストーリーのシリアスさに驚きました。あの『GTASA』や『GTAVC』が持っていた「ちょっとコメディかつ少年漫画チックな物語はどこにいったのやら……」と思いましたね。


葛西祝 確かに『GTA lV』は、『GTA lll』の都会の片隅で過ごしている感覚をより拡大したようなストーリーだったので驚きましたよね。

半面、『GTASA』で感じたオープンワールドならではの自由さや世界観の広がりが『GTA lV』では薄れたことが物足りなかったです。このあたりから物語を優先することと、オープンワールドというゲームデザインが相容れない部分があるように感じ始めてもいました。


G.Suzuki 確かに物語を優先する様な雰囲気がありましたよね。何となく街や人物を描く解像度が高くなった故に「真面目なストーリーを展開しなければならない」窮屈さを感じました。DLC第1弾『ザ・ロスト・アンド・ダムド』もシリアスさが目立っていた故に、後に配信されたDLC第2弾の『バラッド・オブ・ゲイ・トニー』ではシリアスよりもコミカルさを前面に出していたのが何となく印象深かったです。


SHINJI-coo-K オープンワールドにおけるストーリーテリングが課題に挙がり始めた頃のように思います。ゲームの自由度って犯罪をおかせることなの?という疑問ですよね。

葛西祝 『GTA』シリーズも遊んでいくうちに、ゲームで解禁された自由ってどういうことだろうな、と疑問を持つようになりました。人を自由にひき殺せるとか、銃を乱射できるとか反社会的なところで終わっているのは違うな、と思うようになっていきましたね。

メインストーリーからも自由になりたくて、オープンワールドの可能性を信じたのに、『GTA lV』はそうではなくなっていたというか。かわりに『TES IV』でその自由を感じられました。

G.Suzuki 『TES IV』の存在は大きかったですよね。ただ自分はどちらかと言えば『Fallout 3』を主にプレイしていました。当時は『TES IV』の人気のほうが圧倒的で、ベセスダ開発で久々のシリーズ新作となった『Fallout 3』はその次に人気だったような印象がありました。


キーボード打海 「『GTA』は思うがままに人を殺したりクルマを爆破したりできる自由なゲーム」という認識はいろんなところで見られましたね。もちろんそれ自体は間違ってないんですが、「渋い映画のようなストーリーを味わうことができる自由度の高いゲーム」と捉える人もいるわけで。

SHINJI-coo-K 自由度によってどういう体験を与えられるか、というのが重要だと思います。犯罪をおかすという選択を与えながらも、プレイヤーにはゲーム内で違法行為をあえて行わない自由というのもあるわけで、おっしゃったように「渋い映画のようなストーリーを味わうことができる自由度の高いゲーム」を実現するために、犯罪をおかせる自由も用意してあるというか。

だからプレイヤー自身にストーリーテリングを委ねる方式が実用されるようになったのかな、と思いました。自由度の高さって物語を語るにあたって問題となり得るので。

キーボード打海 「他のゲームではできない無残な人殺しができる!」というざっくりした切り取り方を受け入れられない人も、当然いたんじゃないかなーと思います。いわゆるクライムアクションゲームのおいしいところって「クライム」そのものだけじゃないのに「渋滞を火の海にできる」などのほうがド派手で伝わりやすい。

葛西祝 もうひとつ『GTA』シリーズのオープンワールドがもたらしたことは、現実ベースの世界観でゲームプレイできるってことも大きかったと思うんですよ。

2000年代からファンタジー・SF世界の他に、現実の街で生きていくみたいなのってけっこう出てきた印象があって。どこか現実の延長線としてのゲームという感じがありました。

G.Suzuki 現実の延長線にある感覚は『GTA IV』で顕著になりましたよね。本物のマンハッタンにあるエンパイア・ステート・ビルディングや国際連合本部ビルなど、実在の建物とは少し外観や設定が違うけれど、『GTA IV』のリバティーシティーにある建物は実在感が大きかったです。続編の『GTAV』でもその感覚は継続して感じる事が出来ましたね。

キーボード打海 葛西さんの話題に戻しちゃうんですが、ロールプレイ的な意味で「ゲームの中の街で暮らす」って憧れません?『GTA』も『Fallout』も、「箱庭の中で生活を体験する」ような味わいが増していったゲームと思います。

SHINJI-coo-K ああーそれはわかります!自分でいうとゲームに投影しながらプレイするタイプなので、どんなゲームでも主人公の名前は自分の名前だったりするんですよ(笑)

キーボード打海 自分は『MOTHER2』クリア後に意味なく「サマーズ」にテレポートして、「バケーション気分で街を散策するネス達」という体験を(勝手に)楽しむのが好きで。『GTA 3』以降はさらに現実的な世界でそういうことを楽しめたり、『Fallout 3』ではポストアポカリプスな生活感を味わっていました。

SHINJI-coo-K うわー!その『MOTHER2』の話いいですね、ある意味それって自由度の話にも通じてると思いますよ。そういう「バケーション気分で街を散策する」ってことが実際のゲームに取り入れられるようになっていく過程もあったように思いますし。

キーボード打海 最初に「2007年~2008年はちょうど人生の中で最もゲームを遊んでいない年」と話しましたが、ゲームにカムバックして初めて『Fallout 3』を遊んだとき「コレって昔の自分が大好きだった“ごっこ遊び”じゃん!」と感動した覚えがあります。そういう意味でもゲームは進化してたんだなって気付いて。

G.Suzuki “ごっこ遊びの進化”みたいのは確かに『Fallout 3』で自分も感じましたね。『TES IV』でもそうでしたが、『Fallout 3』でも自由に作った自分のキャラクターを操作して、自分の倫理観やセンスだったりを会話や行動で表すのは楽しかったです。また2010年前後って思い返してみれば、『Metro 2033』や『バトルフィールド3』、『TES V』などのタイトルが登場してきた時期でしたよね。この10年代に入ってきてからグラフィックや演出が変わって来たのを感じて次のゲームの進化が始まるのだなと思えました。


葛西祝 グラフィックスの進歩と、現実的な世界観が合わさってすごいことになってきたな、と思えたのは、アクションアドベンチャーの『The Last of Us』ですね。

ストーリーもこれまでAAAタイトルでは見たことなかったテーマを取り扱っていることも目を見張りましたね。主人公ジョエルのように、中年男性の視点による人生観や世界観を描いたことが新しかったんです。破滅の状況のなかで少女のエリーと出会い、どう彼らが変わるかを描いた脚本の完成度の高さも驚かされました。

G.Suzuki 時代がちょっと飛びましたが『The Last of Us 』ですか…!後年PS4で発売されたリマスター版をプレイしましたが、弾やアイテムが足りないし、クリッカーに捕まると1撃死でしたから特に難しかった記憶が大きいですね……。ストーリーはとても面白くて良かったのですけれど。


SHINJI-coo-K ビデオゲームの対象年齢が広くなった証でもあるように思いますね。大人向けの作品も現れるようになった事が顕著になった印象があります。

G.Suzuki 第5回でも話題に出しましたが、そういった雰囲気の中で2013年にPS4とXbox Oneが発表され、その両者にスクリーンショットと動画撮影機能が加わり(Xbox Oneは2015年にスクショ機能が追加)、SNSへの投稿や動画配信機能も入ったというのがまた一つの変化ですよね。ゲーム体験を多くのプレイヤーが外部へ自発的に発信していく流れが生まれたのも大きなポイントだと思います。

SHINJI-coo-K それが2007年~2014年に起こったPS3/Xbox 360時代の流れのように思いますね。本来個人の体験(マルチプレイヤーなどを除いて)であるゲームの体験が共有されたり、ゲームのストーリーテリングやゲーム自体を取り巻く環境に変化があった。

葛西祝 現実とゲームを地続きにするアプローチで、スマートフォンの登場も大きいですよ。それを象徴的に見せたタイトルが『Watch_Dogs』ではないでしょうか。


スマートフォンで都市をハッキングするだけではなく現実のスマートフォンでも、連携したアプリから他のプレイヤーにハッキングできるんですね。ミニゲームもVRやARを思わせる仕掛けが施されていて、まさしく現代におけるビデオゲームの感覚を見せたタイトルだった、と思っています。

G.Suzuki また『Watch_Dogs』や『アサシンクリード4』はコンパニオン・アプリといった形で、一時期現実のスマートフォンやタブレットと連動してマップなどサブ情報を表示するアプローチが流行りましたよね。

キーボード打海 今はスマートスピーカー×ゲームというのも珍しくなくなりつつありますね。残念ながら日本だとあんまりですが、ここ数年で「コンパニオンアプリ」の更に先が見えてきていると思います。『CoD』だとキルデスを振り返ってくれたり、オンラインのフレンドがいるかを教えてくれたり、といった感じですね。


SHINJI-coo-K すごい!ゲームって基本的にはフィクショナルなものですが、仮想世界だのなんだのいわれているゲームが現実世界へアプローチしている!未来!こんなの平成元年の頃には想像すらできなかったですよね(笑)

G.Suzuki ゲームをサポートする機器が専用コントローラーに絞られるだけではない、ハードウェア的にも広がった感じがありますよね。

<cms-pagelink data-text=”現行機とAR、VR……新たなゲーム体験の創出と思い出のリマスター” data-page=”2” data-class=”center”></cms-pagelink>

■2015年から2016年の新世代機/PCで再評価された前世代のゲーム―ARゲームで現実との繋がりが生まれた

G.Suzuki 2015年には、『MGS V: TPP』がPS4/Xbox One/PS3/Xbox 360/PCでリリースされると共に小島秀夫監督がコナミを退社するという大きな変化が訪れました。またSteamへ目を向けて見ると、次々と国産タイトルがPCへと移植され、一部タイトルにはフレームレートや解像度が向上していたりとグレードアップされていました。

それだけではなく、PS4/Xbox One時代には前世代機からグラフィックなどパワーアップして移植されるリマスタータイトルが多くなったようにも感じました。みなさんは2015年辺りはどんなゲームをプレイしていましたか?

自分は『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』もPC版を買ってプレイしましたね!ハードなストーリー展開とゲームプレイが噛み合って非常に面白くて、1ヶ月ぐらいは夢中でやっていたようにも思えます。ただ、よく言われるように第2章は、カットされてしまったエピソード51「蠅の王国」も含めてじっくり丁寧に体験したかったですね。


SHINJI-coo-K ある意味で再評価のきざしといいますか、リマスターなんかはまさに「できなかったことができるようになった」典型と言えるのではないでしょうか。

G.Suzuki 例として挙げるなら『地球防衛軍4.1』や『アンチャーテッド コレクション』ではフルHD+60fps動作でよりゲームプレイを確認しやすくなりました。先の『The Last of Us Remasterd』ならスクリーンショットを撮影し、SNSへ投稿することで難しさや演出の良さを共有出来るようになった事が大きかったです。

グレードアップと言えば『GTA V』は外せませんね。PS4/Xbox One/PC版は1人称視点モードの追加とグラフィックなどが強化されてリリースされましたし。さらには自撮り機能や『GTA オンライン』での機能拡張も大きかったですね。


葛西祝 前回『Dear Esther』など、“ウォーキングシミュレーター”と呼ばれるジャンルで、2015年辺りはさらに進んだものを楽しんでいました。『Everybody’s gone to rapture』や『The Begginer’s Guide』など。最初期は実験的なジャンルでしたけど、どんどん物語の体験を洗練させていったことが面白かったですね。

SHINJI-coo-K 自分はその頃に遊んだゲームで印象深いのは『Her Story』(2015年リリース)ですね。これも実験的かつ物語、というかストーリーテリングに対して新しい手法で挑んでいて刺激を受けました。殺人の容疑がかかった女性の供述ビデオをデータベースで検索して事件の真相に迫る、という作品なのですがキャッチコピーが「Googleさえ使えれば誰にでも遊べる」というもので、シンプルかつ奥深いタイトルでした。


G.Suzuki自分は先に挙げたタイトル以外に『Goat Simulator』も遊んでいましたね!シミュレーターという名前が付きながらも、奇想天外なアクションや設定が盛り沢山で、時々発生するグリッチやマップに隠された意味深なロケーションを探すのが楽しかったです。2015年前後はインディーゲームとしても、先の『Everybody’s gone to rapture』や『Her Story』を筆頭に、グラフィックやゲームシステムのアプローチが少し変わり始めた時期でしたね。

キーボード打海 なんだか全体的にアドベンチャー寄りですけど、自分は『ライフ イズ ストレンジ』(PC/2015年1月~)が一番印象に残ってます。かなりのテキスト量でしたが英語で読み進めて、EP4に入ったころから興奮やら感動やらで震えながらプレイしてました。

SHINJI-coo-K ああー!『ライフ イズ ストレンジ』は自分も同じくめちゃくちゃハマってて、当初は英語版をがんばって読み進めて遊んでいました。公式日本語化されたときは嬉しかったですね……!


キーボード打海 ちなみにこれは単に気持ち悪い話なので聞き流してもらっていいんですが、アートワークのマックスが自分が高校生のころ憧れてた女子に似ていて……なんなら発表時から震えてました。

SHINJI-coo-K マックスは普通にかわいいですよ!気持ち悪くないですよ!脱線しますが自分だったら『FF8』のリノアがフラれた彼女に似ててもだえながら『FF8』をプレイしてました……!

葛西祝 マジですか!SHINJI-coo-Kさん、まさかのゲームが現実の延長線上になってた!キーボード打海さんのリアル『ライフ イズ ストレンジ』の結末はどうなったんですか?

キーボード打海 完璧に脱線しますけど、高校生のころ、冴えないインターネットキッズながらもバンドをやってまして、その子を自分が出るライブに呼ぶことができたんですよね。高3の夏くらいだったかな……これは一世一代のアレだ!って思ったんですけど、彼氏を連れてやってきました。「~糸冬~」って感じでしたね。

G.Suzuki それはお辛い……

SHINJI-coo-K 今BGMがSyd Mattersの『Obstacles』(『ライフ イズ ストレンジ』メインテーマ曲)が掛かってる感じになってます……!「we were younger, we were younger」って流れてますよ!

キーボード打海 時間を戻してその女子に会わなかった人生を選択したい気もしますけど、この体験がなかったら『ライフ イズ ストレンジ』にビビッと来る可能性も減ってたので、いろいろですよね……人生……。


SHINJI-coo-K 人生……ッ!平成の最後に人生ッ!

いよいよ2015年くらいから説得力のあるドラマを描ける、心に訴えかける描写ができているゲームが本当に増えたなという印象ですね。

ゲームが映し出す“現実味”というか、現代劇かを問わず、世界のグラフィクスやサウンドなどの“ゲームとしての解像度”に対して、物語の伝え方がまだまだ手探りだったように思いますし、もちろんそれは今も手探りであるはずですが、2010年代後半からそれまでの様々な試行錯誤が実を結んだようにストーリーの説得力が増したと思います。


G.Suzuki 00年代後半の洋ゲーは、ストーリーやゲームプレイへ没入するための演出など「もう少し強く訴えかける事が出来るのではないか」と感じながらシングルキャンペーンなどをプレイしてきましたが、この2015年ぐらいになってプレイヤーに説得力を持って訴えかける演出が出来るようになったと感じますね。

キーボード打海 『Gone Home』以降、アドベンチャーゲームの仕組みや「ゲーム内で物語を読むこと」が拡張された印象があります。それ以前も近い手法はあったけど、より強まったかなと。

SHINJI-coo-K その「拡張」という表現が相応しい気がしますね。多様になって、『This War of Mine』のように明確なストーリーラインが存在しないゲームでも物語性を感じたり。


G.Suzuki 2016年には、かねてから開発が続けられていた、Oculus RiftとHTC Vive、そしてPlayStation VRが正式に発売されたことで、VRの時代が到来しましたね。

葛西祝 VRって90年代にもヘッドマウントディスプレイがちらほらありましたけど、こんなにカジュアルになるとは思ってませんでしたよ。その後もスマートフォンを利用したARのゲームが話題になったり、現実の延長線としてのビデオゲームというのが進みましたね。

G.Suzuki そうですね、ARと言えば『ポケモンGO』が2016年7月にリリースされた当初興味があってやってみたいのですが、自分の住んでいる市ではジムやポケストップが全然無くて、プレイするのに難しかったのが残念でした……。

葛西祝 『ポケモンGo』もリリース直後ってすごかったですね。普段の街を歩いていると「あきらかにこの人……『ポケモンGO』やってるな!」っていうのがすぐにわかる(笑)。リアルでポケモントレーナーたちが並んでいる光景がシュールでした。


G.Suzuki 確かに今でも隣町へ行くとそういう光景に出くわしますが、まさに「ゲームと現実が上手いこと掛け合わさった結果」なのだなと思いますね。外から見ていてもとても楽しそうですし。

SHINJI-coo-K ゲームは仮想の現実で、現実からの逃避先と見なされていた時代(連載第4回で触れたゲームバッシングであったり)があったと思うんですが、むしろゲームの方から現実にアプローチしている時代になっていますよね。前述のSNSでのシェアなり、ソーシャルゲームなり、現実に対するアプローチがある。

ゲームと生活は背反しないし、むしろ現実での生活の延長線として、ライフスタイルを拡張するものになっていると思います。『ポケモンGO』ではそういうことを感じました。実際に身体を動かせてなんの変哲もない公園へ出歩かせるなんて実はめっちゃすごいことですし。

葛西祝 背景としてはインターネットが浸透して、スマートフォンを誰でも持つようになって、デジタル環境がライフスタイルに浸透したことが大きいですね。そこに合わせて、ゲームも現実の延長線になったのかなと。

G.Suzuki ゲームプレイスタイルを現実にまで広げたARゲームと、仮想の世界へフルダイブするVRが同じ2016年に出ているというのが驚きですよね。さらにVRのHTC Viveは特に四肢をフル活用出来るルームスケールにまで広げましたから。

話が変わりますが、2015年と2016年は『シェンムー3』や『FF7リメイク』、『エースコンバット7』、『ストリートファイターV』、先の『人喰いの大鷲トリコ』などを含め続編や新展開が望まれていたタイトルが立て続けに発表されたり、リリースされたのが印象深いですね。


一方でフラットモニターで体感する『FF15』も、それまでのRPGのあり方やゲームプレイに対するアプローチが大きく変わったように感じました。オープンワールドのサブクエストも大切な思い出として残してくれて、仲間と旅をする行為自体に意味があるように感じました。さらにプロンプトのカメラで自動的に場面ショットを撮影してくれるというのも画期的です。

葛西祝 前にGame*Sparkでやった『FF15 』を振り返る座談会でも語ったことですが、いいところをサルベージしていけばもっとすごいゲームにできると思うんですよ。可能性があるゲームデザインが再検証されずに終わってしまうのがよくないので『ファイナルファンタジー16』ではその要素を取り込んで欲しいです。頼みますよ!スクウェア・エニックスさん!と願っています。

2016年は「もしかしたら完成しないんじゃないか」と思われていたタイトルが続けて発売された年でもありますね。上田文人氏の『人喰いの大鷲トリコ』も、かなり長い期間がかかった末に、発売されましたね。

キーボード打海 『トリコ』はもちろん『エースコンバット7』もそうでしたし、最近だと『ボーダーランズ』もなんですが、新しい情報を取り扱うメディアとしてもファンとしても「あの新作がいよいよ……!」という発表を目の当たりにすると熱い気持ちになります。

SHINJI-coo-K 近作で言えば2019年1月24日に発売された『KINGDOM HEARTS III』も待望されてようやく、って感じでしたよね。

G.Suzuki ナンバリングの前作発売から14年の歳月を経てリリースされたと思うとなかなか感慨深いですね。

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■2010年代から盛り上がる日本のe-Sportsシーン―平成に生まれた課題を探る
G.Suzuki ここで話題に出したいのが国内のe-Sports展開に関してです。2010年代に入ってからe-Sportsは国内でも盛り上がりが本格的になってきたようにも感じます。自分は特に「特定のチームを応援している」というものが現在ありませんが、フライトシムを筆頭としたミリタリー系ゲームが好きなので、ミリタリーサンドボックス『Arma 3』やコンバットシム『DCS World』で行われる試合などは、時々見ることはありますね。

この間なら『DCS World』のニュースレターでユーザーが飛行隊を組み空戦で勝敗を競い合う「SATAL 2019」が2019年4月6日から開催されることを知ったので、これから試合の様子を見るのが楽しみですね。国内からもチームが出場するということなので彼らの活躍も見届けたいです。


SHINJI-coo-K 自分は「DreamHack」の観戦をよくしています。メインは『Counter-Strike: Global Offensive』で推しのチームは「Fnatic」です。


葛西祝 やっぱり国内では格ゲーでしょう。ウメハラ選手がオーバーグラウンドに浮上したのは驚きました。90年代から有名でしたが、公の場に出てくるようになり、書籍も多数出しています。続いてときど選手も活躍がTVで特集されたり、人間としてのe-Sports選手がクローズアップされるようになっていきましたね。

キーボード打海 e-Sportsって当然ながらショービジネスでもあるので、「観戦しやすさ」というのもひとつのポイントだと思ってます。玄人、いわゆるプロゲーマーが「目にも見えない速度で卓越したテクを連発する」ような競技シーンだと、スゴイけどスゴさの本質が伝わりにくくて、もったいないこともあるのかなと。自分は『リーグ・オブ・レジェンド』の競技シーンを特によく観てますけど、MOBAってRTSみたいなものなので、「遠くから全体を見る」ような感覚があって比較的観戦しやすいと感じてます。

SHINJI-coo-Kルールをしっかり知らなくてもすごさがなんとなく状況が理解できたりするジャンルだと観戦しやすいですよね。格闘ゲームはそれが顕著ですし。

キーボード打海 「ウメハラがぁ! 画面端ぃぃっ!!!! 」みたいな、誰でも分かるスーパープレイはやっぱり盛り上がりますよね。あれは格ゲーをほとんどやったことがない人でもアツくなれそうです。

G.Suzukiウメハラ選手は「レッツゴージャスティーン!」のかけ声からの展開で知られる2004年の「背水の逆転劇」から知りましたが、あの逆転劇のようにテクニックの凄さや興奮が簡単に伝わるものなら盛り上がりやすい気がします。


キーボード打海 「2018年はe-Sports元年」というフレーズがよく使われていましたね。ぶっちゃけ毎年のように「元年」と言われている気もするので、自分は意識してなるべく使わないようにしているんですが。「e-sports SQUARE AKIHABARA」や「Red Bull Gaming Sphere Tokyo」、各タイトルの大規模な国内大会、そして「日本e-Sports連合(以下:JeSU)」と大きな動きはここ数年で見られてましたけど、いつになったら「e-Sports元年」から「e-Sports二年」と移り変わるのか疑問ではあります。

葛西祝 e-Sportsが世間的に認知されたのは喜ばしいことですけど、実態としてはどうなんでしょうね。観賞スポーツのひとつとして捉えられているのでしょうか。
SHINJI-coo-Kスタート地点を決めたい人たちがいて、そういう人たちって継続性へ目に向けない場合が往々にしてありますね。もう始まったんだから次は続けていきましょうというところに着目しないというか。

なお、自分の中のe-Sports元年は、国内のものではありませんが『ザ・シムズ2』で登場した職業「ゲーマーキャリア」を見たときでした(笑)


G.SuzukiVRでもそうですが、「元年」と言われているのはどことなく「パラダイムシフトが起こるような大きなブームになって欲しい」みたいな願望を感じます。自分としては、VRは一般に「Oculus Rift」と「HTC Vive」、そして「PS VR」が発売された2016年から、日本のe-Sportsは格闘ゲームの冬の時代を終わらせた『ストリートファイターIV』発売以降がその元年だと思います。

キーボード打海 そうそう、G.Suzukiさんの言う通り「願望」でもあるんですよね。主にリーグ/大会の運営側や我々のようなメディアが言い出してると思うので、ブーメランとなって返ってくる可能性はあるんですけど、「元年が始まったんですね、それじゃあ次は?」というのにほとんど答えられていない。シーンによってはむしろ後退してる印象すらあります。

葛西祝e-Sportsの副次的な効果というか、マスメディアでは「ゲームを遊んでるひとを映すだけでもTV番組にできるよな」みたいな流れがありますね。テレビ東京さんが有吉弘行をメインに据え「有吉ぃぃeeeee!~そうだ!今からお前んチでゲームしない?」を始めたり、フジテレビさんも指原莉乃を起用して「さっしーのe部屋」を始めてますし。

これらの番組で面白いのは「e-Sports」って銘打っているけど、ゲーム実況がメインになっているんですよ(笑)ゲーム実況と言わずに「e-Sports」って枕詞をつかっている。芸能人がゲーム実況番組を公にやれる意味のe-Sports元年はあったのかもしれません。

SHINJI-coo-K なんだかんだいってテレビはメディアの王様なので、波及する予感がしますね。ゲームに理解のない年長世代にも届きそうな気がします。

G.Suzuki ただビデオゲームの紹介や対戦を披露するTV番組が過去なかったわけではないですからね。90年代ならテレビ東京で午後6時30分から「64マリオスタジアム」などで、『ポケットモンスター』の番組内トーナメント戦を映していましたから。

葛西祝 昨年、格闘技大会RIZINで『鉄拳7』の日韓戦が行われていましたし、メジャーなところからコントラストで見せていきたい意図はあるのかもしれません。

実際に取材でRIZINへ観に行ってきたところ、無茶な組み合わせではあったんですけど、今後、日本でe-Sportsをショービジネスとした場合のヒントも結構あったと思いますね。


SHINJI-coo-K ショービジネスとしてのe-Sportsという目線は興業をする人たちに意識してもらいたいですね。それによって振る舞いなども含めた「プロe-Sports選手」という実像ができあがると思いますので。

葛西祝 それはあるかもしれないですね。RIZINに出場した『鉄拳7』の選手の皆さんは、JeSUから正式なライセンスを配布されたプロ選手でした。試合後のインタビューもかなりしっかりしていましたね。

格闘技イベントで、さすがに自分たちが浮いているのではないかと感じていたところ、思ったより観客が暖かったってバランスで語っていたのが印象深かったです。

G.Suzuki 自分の場合はまた違っているのかもしれませんが、『Call of Duty』関連で何度かSIE主催の「CWL日本代表決定戦」を取材してきましたが、選手たちはインタビューに対して、しっかりと受け答えをしていましたし、ウィットに富んでいて熱意が伝わってくるのがとても良かったです。

キーボード打海 自分としては真逆というか、頭を抱えるような体験が過去にありまして。インタビューする予定だったプロゲーミングチームが試合に負けて、ロクに喋れなくなっちゃうほど選手が落ち込んでしまい、ヒンヤリした雰囲気の中で合同取材を進めたことがあります。

SHINJI-coo-K おお、そこまで沈むということはそれだけ情熱を捧げていることの証左な訳で、本当にスポーツの世界というか、“遊びでやってない”って感じがしますね……!

キーボード打海 多くの場合は大会やチームの運営がインタビュー時間をガンバって調整しているわけで、落ち込んでるからって「やっぱり後日やりましょう」という話にできなかったのが、かなり心苦しかったです。向こうもこっちも「遊びじゃない」のは当然なんですけど、「仕事だから!」って理由で半泣きの選手に無理やりインタビューするのも全然面白くないなって。

「仕事だから」という気持ちで試合を観たり選手の写真を撮ったりしてると、どうしても頭が「メディア関係者」モードになっちゃいますし、e-Sportsを心の底から楽しめないんですよね。で、やっぱり楽しんでやってない人のレポートやインタビューはどことなく「工業製品」っぽさが出てきてしまう気がします。

「好きだからやる」と「仕事だからやる」の境界線にブチ当たっちゃう、いわゆるゲームライターっぽい悩みに似てるような、そうでもないような話です。

SHINJI-coo-K いやー「たかがゲーム」、「ゲームごとき」とかいう言葉を口にする人たちに是非とも読んで頂きたい内容ですね。「e-Sports元年」の何が良いかというと、あくまで私見ですが「ゲームに対して真剣に取り組むこと」が馬鹿らしいことじゃないと世に知らしめられることかもしれないな、と思いました。

G.Suzuki 先の問題もそうですが、他にもe-Sportsってまだまだジャンルを広げられると思うんです。今国内はFPS/TPSや格闘ゲーム、MOBAにほぼ絞られてしまっています。2016年に海外で『Civilization VI』のe-Sportsチームが発足したのに驚きましたが、よくよく思い返してみると、ストラテジーゲームである将棋や囲碁も激しく動くジャンルではありませんが、実際にはショービジネスとして成立しています。


最初に挙げた『DCS World』のe-Sports的な試合が世間から注目度低いのは、タイトルやジャンルがマイナーな故に、観客がそれを見てどこで驚けばいいかショー的に映す演出が洗練されきれていないだけで、「戦闘機の挙動をリアルに再現したゲームで戦う試合」に興味惹かれる人は多いと思うのです。

同様にフライトシューティングの『エースコンバット7』も、「e-Sportsには向かない」という意見はTwitterなどで度々見かけますが、それは先の通り、映し方やプレイヤー側の受け取り方が洗練されきれていないだけで、まだまだ広げられると思うのです。


キーボード打海『Farming Simulator』のe-Sportsリーグ「Farming Simulator League」 は、ギャグでなくホントにがんばってほしいです。

……とこれでまだ折返し。もう平成も最終盤なのに掲載日未定の後編は2017年から平成終わりまでが話題の中心となります。ニンテンドースイッチ発売、バトルロイヤルゲームブーム、PCゲームのプラットフォーム戦国時代、日本メーカーの近況などなどまだまだ話は尽きません。ぜひ後編もお付き合いください。

Game*Spark G.Suzuki

最終更新:4/28(日) 21:00
Game Spark

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