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航空機の電動化はどこまで進むのか、日米は協調?競合?

4/28(日) 19:00配信

ニュースイッチ

 「空の移動革命」のインパクトは、ドローンを大型化した電動垂直離着陸機(eVTOL)のような新たなモビリティーの誕生だけにとどまらない。多くの乗客を運ぶジェット旅客機分野でも電動化を見据えた開発が進む。カギを握るのは、安全性と信頼性の実現に不可欠な電池やモーターをはじめとする技術。日本には航空機産業には未参入ながらも自動車やエレクトロニクス産業向けに、こうした技術を蓄積してきた企業が少なくない。電動化は航空機産業にパラダイムシフトをもたらすとともに、技術革新を軸に形づくられる新たな協業関係や企業連合は、日本企業にとって商機をもたらす可能性を秘める。

 「パートナーを探すには日本は格好の場所。将来の航空業界を形づくる技術計画について意見交換しよう」。米ボーイングで技術戦略を主導するグレッグ・ハイスロップ最高技術責任者(CTO)は2019年1月中旬、東京・霞が関の経済産業省を訪れ、GSユアサや東レ、三菱重工業など10社・研究機関のトップらを前に熱く語りかけた。

 同社はこの日、経産省との間で将来の航空機分野における技術協力で合意。テーマは複合材製造や生産の自動化まで多岐にわたるが、とりわけ期待されるのが航空機の電動化だ。

 自動車と同様、航空機も二酸化炭素(CO2)の削減の流れとは無縁ではない。航空旅客需要はアジアを中心に伸び、2037年までに現在の2.4倍に増える見通しである一方、国際航空運送協会(IATA)などは2050年のCO2排出量を05年比で半減させる目標を掲げる。航空機各社はより高燃費の機体開発を進めるもののこれだけでは抜本的な解決策とはならない。

 電動化による燃費削減を実現するには、大きく分けて「エネルギー効率の向上」や「軽量化」といった課題を解決しなければならない。そのためには高性能モーターやリチウムイオン電池、磁性材料、超電導送電といった技術を結集するとともに、素材開発や要素技術レベルからの変革もカギとなる。

 すでに装備品メーカーでは、電動化を見据えた研究開発に乗り出しており、例えば航空機向けモーターやセンサーを開発する多摩川精機は、エンジン周りでもモーターの需要が高まると期待。三菱電機はパワー半導体など自社のパワーエレクトロニクス技術を生かしたいと考えている。

 飛行姿勢制御装置を手がけるナブテスコは、現在の油圧式の装置が電動化されれば自社装置の搭載量が増えると見込む。ただ、そのためには小型・軽量化や信頼性向上が欠かせない。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2018年夏に電動化技術を利用した航空機の実現を目指すコンソーシアムを発足。IHIや川崎重工業、SUBARU(スバル)、日立製作所など50機関が参加する。

 同年末に開催したフォーラムには約400人が参加。航空機関連企業からの参加は4分の1ほどで、残りは自動車や鉄道、機械など航空機産業とは接点のなかった企業。あらためて電動化への関心の高さをうかががわせた。こうした中から次世代技術のサプライヤーが生まれ、新たな国際分業体制が構築されるかもしれない。

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最終更新:4/28(日) 19:00
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