ここから本文です

高橋尚子さん「ドアの下からそっと…」 小出氏との“文通”が育んだ絆

4/29(月) 15:00配信

スポーツ報知

 24日に肺炎で亡くなった女子マラソン界の名将・小出義雄氏(享年80)の告別式が29日、千葉・佐倉市のさくら斎場で約600人が参列してしめやかに営まれた。教え子で2000年シドニー五輪金メダルの高橋尚子さん(46)が“最後の手紙”として感謝の弔辞を読み上げた。

 「高橋です、Qです」と始まった高橋さんの弔辞。最後に顔を合わせた18日には小出氏から「持ってきた手紙を読んでくれよ」と言われたが「恥ずかしいから嫌です。監督また、次すぐまた持ってきますからね」と返した。「あのとき、ちゃんと読んでおけば良かった、願いを叶えておけば良かった。後悔することもありましたが、それを見ていらっしゃったご家族の方々から『最後に声をかけて下さい』。そう言っていただいて、最後の手紙を読ませていただけることをとてもうれしく思います」と気丈に言葉を紡いだ。

 これまでたくさんの手紙のやりとりがあった2人。「最初はマラソン大会を明日に控えた夜でした。試合に対する不安や怖さだけでなく、スタートまで導いて下さったうれしさと、その多くを費やして下さった感謝の気持ちをどうしても伝えたくて、ペンを取り、手紙を監督の部屋のドアの下からそっとしのばせました。大会当日の朝、目を覚ますと、私の部屋のドアの下から、思いがけず監督からの手紙が入っていて、すごくうれしかったことを覚えています。それから、毎回レースの前には恒例の儀式のようになっていましたね」。グラウンドの外でも育まれた絆が、強さの原動力。「『強くなったな』とか『毎日毎日、全力で走り、1日たりとも力を抜いた日はなかったよ』と監督が認めて下さった言葉が、結果よりうれしかったかもしれません」。言葉と心で選手に寄り添い続けた。

 最後には「東京五輪はビールを飲んで見守っていて下さい。私の中で監督は永遠です。今までありがとうございました」と感謝した。

 小出氏は指導に携わっていた実業団・ユニバーサルエンターテインメントとの契約満了もあって、3月末に54年間の指導者人生から身を引いていた。1965年からの23年間は教員として高校生を育成し、その後は実業団の女子ランナーを指導。バルセロナ五輪銀、アトランタ五輪銅の有森裕子さん、97年アテネ世界陸上金の鈴木博美さん、シドニー五輪金の「Qちゃん」こと高橋尚子さんらを世界の頂点に導いた。常識にとらわれない経験と眼力。選手を褒め続ける明るさ。そこにいるだけで、どんなランナーでも「もっと頑張ろう!」と思えてしまうようなオーラをまとった、オンリーワンの指導者だった。

 勇退後は体調面を最優先にしながら、佐倉を拠点に活動を続けるユニバーサル―へのアドバイスなど関わりを持ちたいという意向を持っていたが、24日に肺炎のため80歳で亡くなった。

最終更新:5/14(火) 8:48
スポーツ報知

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事

あわせて読みたい