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40代での妊娠が増加、意図して選んだ結果か?

5/1(水) 8:30配信

The Guardian

【執筆:Zeynep Gurtin】
 英国で、妊娠・出産の高年齢化が進んでいる。英国家統計局(ONS)は4月、イングランドとウェールズの女性の妊娠率(女性1000人当たりの妊娠した女性の数)に関する最新の統計を発表した。それによると2017年には、10代の妊娠率は引き続き低下していた一方、30代で妊娠する女性の数が初めて20代で妊娠する女性の数を上回った。だが最も特筆すべき傾向は、40代の女性の妊娠率が2年連続で上昇したことだ。年代別で上昇していたのは40代のみだった。この傾向は大きな長期的変化を反映している。1990年以来、40代で妊娠する女性の数は倍増している。

 これらは重要な傾向だが、数値は限られた情報しか与えてくれない。40代で妊娠した女性はどのような社会的背景や人間関係を持ち、生殖的な状況はどうだったのか。妊娠の経過は若年層の女性と比べてどう違ったのか。こういった幅広い情報がほとんどない。英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジの女性健康研究所が進めているンタビューを中心とした新たな研究プロジェクトでは、こういった内容を調査しようとしている。40代で妊娠した女性たちの経験談や気持ち、意見などを聞くのが目的だ。

 ONSの報告書は、妊娠・出産の高年齢化の要因は複数あると指摘している。女性の高学歴化や社会進出、先行き不透明な労働市場や子育て・住宅費の増加などだ。だが、ONSの報告書でまったく触れられていない要素がある。多くの女性が妊娠のタイミングを決める最も重要で決定的だとする要素──パートナーとの関係性の状況だ。

 40代以降に母親になった多くの女性たちは、意図して妊娠・出産を遅らせたのではなく、必要な条件を満たそうとしただけだと言う。もし男性と付き合って望ましい関係にあれば、喜んでもっと早くに子どもを産んでいたと話す。30代で家庭を築こうと思った矢先に、離婚や関係の解消を経験した女性もいる。パートナーが積極的に協力しない、(まだ)子どもを欲しがらないというケースもあった。そして多くの女性が、オンラインでの出会いが盛んな時代によいパートナーを見つけることの難しさを訴えた。

 妊娠・出産の高年齢化については、女性の選択、女性の社会的役割の変化といった視点でのみ議論されがちだ。だがこれらの体験談から、男性の選択や男女の関係性の変化が、妊娠のパターンにどう影響しているかについて考慮することも重要だと分かる。

 またONSの統計は、妊娠に至る道のりについては触れていない。精子や卵子の提供を含め不妊治療が必要だったか、流産に終わったケースがどれほどあったかなどの情報が欠けているのだ。年齢が高くなると妊娠しづらくなる一方、妊娠・出産におけるリスクは高まる。そのため、40代以上の女性にとってこういった情報は特に気になる内容だ。

 こういった情報の欠如は、40代の女性の多くが妊娠するまでに深刻な困難に直面し、待望の子どもを妊娠しても合併症に悩まされる可能性があり、さらにはとても悲しいことに多くの女性が心ならずも子どもができないままだという現実を覆い隠すことになる。

 話をした高年齢の女性の間では不妊の長期化は当たり前で、不妊治療と流産の繰り返しもよくあることだった。この年代の女性は流産や(妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群などの)健康問題のリスクが高まるだけでなく、「自分勝手」「えり好みしすぎ」「キャリア主義」などのらく印を押されることも多々ある。

 もちろん中にはさまざまな理由で進んで妊娠・出産を40代まで遅らせ、準備ができたと決めたとたん自然に妊娠し、健康な妊娠生活を送って問題のない出産を経験する女性もいる。

 だが、そのような女性は多数派ではない。それどころか、幸運だったとまで言いたい。このような運よく起こった話によって、若い女性たちに40代まで妊娠・出産を遅らせるのは可能であり望ましいといった誤った希望を抱かせるべきではない。特に高年齢の女性の生殖能力は不安定だ。40代の妊娠は大きく増加したものの、全妊娠の3.4%にすぎないことを覚えておいてほしい。【翻訳編集:AFPBB News】

執筆したゼイネプ・グルティン氏は、ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジで女性健康学の講師を務めている。

「ガーディアン」とは:
1821年創刊。デーリー・テレグラフ、タイムズなどと並ぶ英国を代表する高級朝刊紙。2014年ピュリツァー賞の公益部門金賞を受賞。

最終更新:5/1(水) 8:30
The Guardian

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