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博多港の“日本一”を支える水先人 知られざる世界に潜入

5/2(木) 7:01配信

九州朝日放送

九州朝日放送

外国のクルーズ船寄港数が5年連続日本一の博多港。

この日も、博多湾を超大型客船がゆっくりと進んでいた。

博多港に入る前、全長350メートルを超えるその巨体に小型ボートが徐々に近づいて行った。

そして、ボートは船体にピタリとくっつく。

止まっているように見えるのはボートが客船と並走しているためだ。

すると、男が縄梯子を使ってボートから客船に乗り移った。

一体、何者?

日本で6人しかできない仕事

客船が到着する約3時間前、大型船の入港には欠かせない人物が姿を現した。

博多水先区の一級水先人、山口正二郎さん60歳だ。

水先人とは航行数が多い港や海峡などに出入りする大型船に乗り込み、船長にアドバイスする仕事で国家資格だ。

全国35の水先区で、約700人の水先人が活躍しているが、資格は各水先区ごとに与えられる。

博多水先区の水先人は山口さんを含め6人。つまり、博多で水先人をできるのは全国で6人しかいないということになる。

山口さんは博多水先人会のオフィスに到着するとすぐにパソコンに向かった。

「今、クァンタムはここまで来ています。壱岐と呼子の間ですね。」

クァンタムとはこの日、山口さんが乗船する「クァンタムオブザシーズ」のことだ。
全長約350メートル、幅約40メートルという超大型客船で、日本に寄港する客船の中でも最大級だ。

「これがクァンタムの着岸の軌跡です」

山口さんが見せてくれたのは以前、クァンタムオブザシーズが着岸したときの船体の軌跡だ。

このデータを頭に叩き込み、入港のイメージを膨らませる。

さらに、気象や他の船舶の情報を収集するなど準備に余念がない。

巨大客船を操る男は車の運転が苦手

一通りの準備を済ませると、自家用車で港に向かう。同乗させてもらうことにした。

大型船の船長経験者しかなることができない1級水先人。

山口さんは水先人になる前はアメリカやオーストラリアなどと日本を結ぶ外航船の船長だった。

何人ものスタッフを率い大型船で鉱石や穀物などを運ぶミッションに従事、海洋立国日本の物流を支えてきた。

いわば、世界の海を知る男だ。

しかし、車のハンドルを握る山口さんが意外なことを口にした。

「私、車の運転は下手です。難しい。車庫入れとかが…」

これまで巨大な船を動かしてきているのになぜなのか?
 
「自分で動かさないといけないから」

そうなのだ。巨大な船は船長が舵を握ることはほとんどない。

仕事は細分化されていて、航海士や操舵手、機関士など多くのスタッフが働いている。

その指揮命令をするのが船長の仕事のため、同じ運転でも車の運転とは全く別物なのだ。

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最終更新:5/2(木) 7:01
九州朝日放送

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