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博多港の“日本一”を支える水先人 知られざる世界に潜入

5/2(木) 7:01配信

九州朝日放送

SF映画さながらの光景

船に乗り込んだ山口さんが向かったのはビルの10階以上の高さに位置する操舵室。

何重もの扉を抜けてようやく到着した。スタッフ以外絶対に入ることができない船の心臓部だ。

操舵室の中は、静寂に包まれていた。

幅40メートル以上はある横長いその部屋の中央には、まるでSF映画に出てくる宇宙船のコクピットのようなブースがある。

その両端にはソファや軽食コーナーなどもあり、高級ラウンジのような空間も広がる。

目の前は当然、全面ガラス張りで大海原の絶景が広がっている。

全長約350mの船体をここだけでコントロールするが、全てコンピューター化されていて、外洋ではほとんど自動運転だという。

ここで働く航海士や操舵手など多くのスタッフのトップに立つのが船長。乗客乗員5500人以上の命を預かる総責任者だ。

その船長に博多港の入港について直接アドバイスをするのが水先人の山口さんなのだ。

「ハイ!グッモーニング!」

山口さんは船長以外のスタッフにも声をかけながら操舵室を行ったり来たりして、周囲に目を光らせる。

“博多ルール”を伝える

「現在、フェリーの追い越しのために本船減速しています。フェリーが追い越した後、12ノットまで増速していきます。」

定期航路が優先のため、先にフェリーを行かせることを博多ポートラジオに伝えた山口さん。すると、今度はポートラジオから情報が入ってきた。

「作業船が出てきていますが、貴船回頭まで防波堤内で待つということです」

前方に見えていた作業船が進路を譲ってくれるという情報だった。山口さんはすぐに英語で船長に伝える。
船長を安心させるのも水先人の大切な仕事のひとつなのだ。

博多港では入港する1万トン以上の船には原則、水先人を同乗させることが決まっている。

他にも港湾関係者で決めた細かな“博多ルール”が存在していて、水先人はそうしたルールを船長に伝える役目も担っている。

全国屈指の忙しさ 10年前の5割増も

昨年度、博多水先区では約2700回水先人が乗船したが、10年前と比較すると4~5割増えている。クルーズ船や貨物船の入港が増えたことが背景にある。

水先人は医師や弁護士と同じ個人事業主で乗船回数が増えれば収入も上がる。しかし、博多水先人会の平峰真樹会長は「隻数が増えると1日に何隻も乗るということになり、朝早くから深夜までということもあるので、非常に体力を使う」と話す。

博多水先人会では原則1日2人が当番となるが、船が重なった場合、呼び出し順が決まっていて、他の水先人を呼び出して対応する。その回数も以前より増えているという。

船が大型化しているため、今後、水先人の需要がさらに高まることも予想される。

平峰会長は「休日がとれるような人員体制とか勤務体制を考えていかないといけないかなと思っております」と今後の博多水先人会の体制についても言及した。

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最終更新:5/2(木) 7:01
九州朝日放送

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