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高気密・高断熱の「これからの家」の光熱費は最小限 暮らしのスタイルも変わる

5/4(土) 17:00配信

BCN

 一部のハウスメーカーや住宅建材メーカーは、持ち家のコストを「土地代+建築費用+金利+光熱費の合計」で計算するべきと強調する。単純に「建築費用」だけで判断されがちだが、実際は外皮の断熱性能や窓サッシの質などが低いとメンテナンス費や光熱費がかさみ、住み続ける間のランニングコストが高くつくからだ。



 「節約・倹約」をモットーとするなら、値下げ交渉などを行い、購入時の支払額を下げるだけではなく、毎月必ず発生するランニングコストを抑え、同時に、クレジットカードや急増する各社のモバイル決済サービス、共通ポイントサービスで獲得できるポイントの最大化を目指したい。

 先日、東京・新宿にあるLIXILの体験型ショールーム「住まいStudio」で、昔の家(昭和55年基準)、今の家(平成28年基準)、これからの家(HEAT20 G2)の断熱性能比較を体験した。写真撮影OKだった体験会の展示をもとに、今住んでいる持ち家にずっと住み続けるつもりなら、「エアコンなどの暖房器具の買い替え・買い増し」の前に、「住まい全体の断熱改修(断熱リフォーム)を検討したほうがいい」とアドバイスしたい。それくらい、昔の家と、これからの家の暖かさは、体感上も、数値上も異なっていたのだ。
 

●目指すべき住宅像は「健康的で快適な住まい」
 LIXILは、2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会による「これからのHEAT20」に賛同している。戸建住宅の目指すべき住宅像と推奨する断熱性能水準のとして、HEAT20 G1・G2の二つのレベルを策定。それぞれ、全国1~7の地域区分ごとに、断熱性能の新基準UA値と「冬期間、住宅内の体感温度が15℃未満となる割合」を定め、HEAT20 G20は「大きな窓のそばに座っても寒さを感じず、従来のようにホットカーペットやコタツも要らず、暖房運転しているエアコンからの風もそよそよと弱い」といったイメージだ。室温が高いだけではなく、ヒートショックの原因となる居室(暖房室)と非居室(非暖房室)の寒暖の差も少なく、「心地よく過ごせる、健康的で快適な住まい」となる。
 

 

●「これからの家」のエアコンの風はそよそよと
 今から40年程度前の基準に基づいた昔の家は、昔遊びに訪れた友人や親戚の家、学校のような寒さを思い出させた。外気温が氷点下まで下がった状態でエアコンを暖房運転しても、立つ場所によって寒さを感じるほど。また、暖房のないトイレは非常に寒く、室内の寒暖の差は顕著だった。

 今の家でも、エアコンから力強く風が吹き出し、自宅(マンション)や職場に比べ、やや寒いと感じた。一方、これからの家の室温は自宅並み。従来、寒さが苦手な場合、木造の戸建住宅よりもRC造の分譲マンションが推奨されていたが、ついに戸建も断熱性能面でマンションに追いついたようだ。こうした断熱性アップは、窓やサッシ、ドアなどの性能向上によるものという。
 

 

 しかし、これからの家の仕様を採用すると、建築費は今の家より上がってしまう。毎月、支払う光熱費や購入時に全額支払う家電製品には金利が発生しないため、以前は建築費を抑えたほうが経済的だったかもしれない。しかし、住宅ローン金利が極めて低い現在、たとえ建築費が上がっても高気密・高断熱な仕様とし、光熱費の支払いを抑えたほうが、住宅ローンの金利を含めても合計支払額は安い。ハウスメーカーの主張は正しいのだ。
 

●高齢者だけではなく、全世代に「健康で快適な暮らし」を
 国土交通省は今年3月、「高齢期の健康で快適な暮らしのための住まいの改修ガイドライン」を初めて策定し、主にプレシニアとアクティブシニアを対象に、早めの住まいの改修を呼び掛けていくという。配慮すべき八つの項目の一つ、「温熱環境」では、「居室・非居室の開口部の断熱化(内窓・高断熱サッシの採用など)」「ヒートショックが起きにくい間取り」「自動制御や遠隔操作の可能な暖冷房設備、省エネ性能の高い暖冷房設備の設置」などを挙げている。
 

 合理的な判断ができるなら、年齢を問わず、HEAT20と同等か、やや下がる程度の仕様を選ばない理由はないだろう。エアコンの進化も著しく、従来よりパワフルに、または繊細に、AIやセンサーと連動して賢く室温や湿度を調整してくれる。こうしたエアコンの性能を生かすためにも、住まい自体の性能アップを図る断熱リフォームは有益。新元号「令和」の始まりとともに、冬や夏、エアコンをガンガンかける非エコな暮らしはぜひ見直したい。(BCN・嵯峨野 芙美)

最終更新:5/4(土) 17:00
BCN

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