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オタクも2.0! アニソンDJイベント行ってみたらダサいオタクがいなかった

5/6(月) 15:18配信

TOKYO HEADLINE WEB

「オタク」というとどんなイメージを持つだろう。リュックサックにポスターをビームサーベルのように入れ、チェックシャツをジーパンにインして秋葉原を歩く…そんな「典型的オタク像」を作ったのは、名作『電車男』だろうか。しかし、『電車男』が放映されたのは2005年、もう14年も前なのだ。時が経つのが早すぎて怖い。

 サブカルがサブカルではなくなり、アニメも日本のメインカルチャーのひとつになっているといっても過言ではない。そんな今のオタクを象徴するイベント「jumeaux in TOWN 2019」の様子をリポートする。


    ◇    ◇    ◇

 4月14日、女子クリエイターユニット『jumeaux(じゅーも)』による、アニソンDJ×アパレルファッションという異色のコラボイベント「jumeaux in TOWN 2019」が、渋谷のクラブ「lounge NEO」で行われた。

 じゅーもは服飾出身の女子2人からなる「おたくりえいたー」ユニット。アパレルブランド「じゅーも」として、季節ごとにコレクションを展開している。

 オタクといえば、外見に関わるものよりもコンテンツにお金をかけたい生き物。そんな先入観から考えると、クラブDJというパリピイベントはオタクのイメージから遠くかけ離れたものであり、その上、デザイナーズブランドのアパレル展開というファッショナブルなものが、オタクから受けそうには到底思えない。


■「電車男」はどこにもいない……

 デイタイムのイベントで、昼の13時スタートという早めの開催にも関わらず、開演直後から人の入りは上々。

 DJ陣はおしゃれで、クラブのイメージに合う、ネオ渋谷なスポーティーファッションの人が多い。見まわしてみると……ふ、フロアもオシャレ! チェックシャツを着ている人は誰もいないし、動きやすそうなTシャツ、トレンドであるプルオーバージャケットなどにスニーカーというコーデの女子たちは、渋谷を普通に歩く「非オタ」な女子たちと変わらない。男子も、クラブに映える蛍光カラーのショートパンツという超難関アイテムをサラリと着こなしている。オーバーサイズな古着風ファッションの人も多い。

 なんだこれ、もしかして、多くの人に刷り込まれたイメージの“オタク”はいないのでは? クラブ好きが集まっているだけなのか?

 しかしその瞬間、アニメに詳しくはない記者にはさっぱり分からないアニメのOP風の声優ソングが流れ、フロアがわっと湧いた。その勢いはオタクそのもの。でも、そうだとしたら……オタク、おしゃれじゃん!
 
 これは一体どういうことなのだろう。アニメキャラに発狂するおしゃれさんたちは、まごうことなきオタク感をまとっている。


■推しキャラの色を取り入れて……オタクはファッショナブルに!


 イベントを主催する、jumeauxの2人に、今のオタクのファッション観について尋ねてみた。

alice「今のオタク、昔よりおしゃれな人が増えていると思います。ビームサーベルとかシャツインとか、見る事は減りました」

poyo「コンテンツにお金をかけたい!という考え方自体は変わっていないんですけどね。昔はアニメが好きって言えなかった人たちも、SNSというコミュニティができて、オタクとして生きやすくなったから、対外性のようなものをまるきり度外視する人は少数派だと思います」

alice「アニメグッズもおしゃれになっているし、”ザ・キャラTシャツ”という感じのものはもちろんありますが、女性向けの作品のグッズを中心に、さりげなく持てるようなものが増えています。推しキャラの色を日常に取り入れたりする人が増えていて、ファッションを楽しむオタクの層がいるのは確かです」

poyo「jumeauxの服もそんな”さりげなさ”はコンセプトの1つになっていますね。今季の春夏コレクションは、トレンドであるリネンを使ったセットアップがイチオシなんですが、生地の色に馴染むようにイラストがプリントされています」

alice「おしゃれのことがよく分からないオタクにも、ファッションに興味あるオタクの層も、服っていいなと思ってもらうきっかけになれたらいいな、というのが私達のコンセプトなんです」


■いわゆる”サブカル”がおしゃれなのと同じ


「普段使いできるので重宝してます」と、jumeauxの服を身につけているフロアのお客さん。

「今のオタクってアニメ好きだけじゃなくて、音楽好きやカルチャー好きっていうバックボーンがあった上でオタクしてる人も多いから、いわゆる”サブカル”がおしゃれなのと同じような意味でファッションセンスがある人も多いと思います。僕は普段着は高円寺などでセレクトアイテムや古着を買うことが多いです」


 女性のお客さんにも話を聞いてみた。

「大アピールするのは違うけど、やっぱりキャラ愛やオタ主張アイテムは、どこかに取り入れたくなっちゃいます。20%分くらいでいいんですよね~。昔はもっと服に興味なかったけど、今は会いに行く推しによく思われたい、とも思いますし」

「おしゃれVtuberとかも出てきてますしね。あんまりおしゃれすぎるとビビっちゃうけど、jumeauxの服は手持ちの服ともなじむから、オタイベントでも普段でも着られるすぐれもの! 痛ネイルともケンカしないし」

 クラブだからおしゃれなオタクが多いのかと思ったが、そういうワケでもないのだそうだ。フリフリ服のオタサーの姫は、もう昔の女になりつつあるようだ。


■「推し色着用」しつつ「推しに恥じない自分でいたい」


 印象的だったのが「推し色」の服を身に着けたいということ。確かに言われてみると、昨今流行るアニメには、キャラごとにテーマカラーが設定されているものが多いかもしれない。

 オタクがなぜ昔よりおしゃれになったのか、最も納得がいったのが「◯◯ファンキモいって思われたくない」という意見だった。

 カルチャー好きがおしゃれなのはなんとなく分かるが、推しのアイドルやキャラに会えるリアルイベントや、オタク同士が交流するオフ会などが増えていることは一つ大きな要因かもしれない。昔ほど「オタク=インドア」というワケでもないということなのだろう。自宅でコンテンツを愛でているだけなら私服にお金をかける意味もないが、実際の交流が増えているため、「オタクだって人間なので、異性におしゃれだと思われたいし推しにほめられたい。オタクっぽい、と陰口を言われるのも嫌だ」という意見もあった。

 SNSとインターネットの普及とカジュアル化は、電車男たちを部屋の外に出した。だから、部屋でイヤホンでアニメソングを聞くだけではなく、趣味を語らいにわざわざクラブに来てアニソンをみんなで楽しむ。

 オタクだというだけで後ろ指を指される時代は終わった。それは時代が多様化したからという理由だけでなく、オタクたち自身も変化しているからなのだろう。

 お酒を飲みながらみんなで趣味の話に花を咲かせ、「推し曲」が来るとフロアへすっとんでいくオタクたち。イベントが終わって渋谷の夜の街へ消えていく彼らの背中は、道玄坂町並みにもなじんでいた。



(取材と文・ミクニシオリ)

最終更新:5/6(月) 15:18
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