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SD-WAN導入が意味するものとは

5/8(水) 7:00配信

TechTargetジャパン

 新技術が登場すると、企業が即座に採用することがある。それは間違いなく様相を一変させるからだ。デスクトップPCや電子メール、ワープロがそうだったように。同時に、そうした大きな変革が例外にすぎないことも歴史は物語っている。

 ビジネスにはさまざまな要素があり、人材、プロセス、技術、データ分析など、何千ものパーツについて考慮しなければならない。われわれが目の当たりにしている変化のほとんどは、累積的な展開をたどる。特に、メリットが簡単には突き詰められない技術に当てはまる。

 広域ネットワーク(WAN)は、ソフトウェア定義WAN(SD-WAN)によるソフトウェア定義型へのシフトが起こりつつある。だが一部で予想されたほどには浸透していない。

 ここまで来る過程にはどんな背景があったのか。SD-WANがそれほどコスト削減にならないとすれば、SD-WANが他のメリットをもたらす点をネットワーク管理者はまだ見落としているのか。

WANに何が起きているのか

 まず少しおさらいしてみよう。ソフトウェア定義ネットワークは未来の姿だ。向こう10年余りのうちにSDN、特に複数キャリアのインフラを使うSD-WANは一般的になり、アジャイル性と機能性という利点が組み合わさって、ネットワークを流れる全てに恩恵をもたらす。

 だが現状はどうなのか。SD-WANに投資するメリットは、耐久性や柔軟性の面ではあまりはっきりと言い切れないこともあり、多くのITバイヤーにとって合理的な説明が難しい。

 その一因は、企業が考慮すべき数多くの可変性があり、その可変性のためにSD-WANで何が実現できるかという根本的な前提が虚偽になりかねないことにある。ほとんどは異論を唱えることが可能だが、そうした中の一つに「SD-WANは現在のネットワークを侵害する」という論議がある。

SD-WANのメリット

○日々の運営経費削減

 インターネット接続の方がMPLS(Multi-Protocol Label Switching)よりも安いので、SD-WANは経費削減になるという理屈がある。これは何もかも真実というわけではない。
 欧州、特に英国では、インターネット接続料金ははるかにMPLSに近い。多くのカスタマーネットワークは、MPLSの方がインターネット接続よりも安い。セキュリティ対策やファイアウォールのコストが加われば、インターネットの魅力は薄れるかもしれない。

○帯域幅や回路の削減につながる

 SD-WANのコストは一般的に、帯域幅や回路の数を減らすことによるコスト削減を根拠として正当化することはできない。半面、SD-WANは輻輳(ふくそう)や障害の発生時でも事業継続を保証できる。コスト削減の手段としてよりも、生産性やカスタマーサービスへの投資と見なすのが最善だ。

○アプリの高速化とネットワークデータの削減

 アプリケーションレイヤーのコントロールはSD-WANの約束の一部だ。だがアプリケーションの高速化は違う形で実現するものであり、レイテンシやトラフィック削減の領域にはさまざまな手段が存在する。従ってそれほど劇的な変化は起きない。

○未来のネットワーク導入を加速

 これは筋が通っており、いずれはそうなるだろう。だが今のところ、多くの場合ネットワークは銅の同軸ケーブルで構成され、技術者が手作業で不具合や障害に対処して接続を確立し、回線が使える状態になる前に何らかの機器が導入されている。

 キャリアはいずれ、現在よりも速くサービスを導入して始動させることが可能になるだろう。ほとんどの場所には事前にファイバーが敷設され、一元的な導入が可能になる。だが今のところ、この構想はまだ普及していないのが現実だ。

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最終更新:5/8(水) 7:00
TechTargetジャパン

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