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ボランティアと自治体との連携で生まれる力 2018年7月岡山豪雨の教訓

5/9(木) 11:02配信

Yahoo!ニュース

 毎月7日前後の夕方、岡山県倉敷市真備支所の吉備真備像の周辺に約300本のろうそくがともる。並んだろうそくは「がんばろう真備」と浮かび上がる。地元の約50人が集まり、「犠牲者への哀悼」「復興へ決意」を胸に誓う。真備復興希望プロジェクトによるクラウドファンディングで運営されている。昨年7月の岡山を中心とした集中豪雨から10カ月。歩道に積まれたタンスや自転車はなくなったが、窓ガラスのない吹きさらしの住宅は、まだ数多くある。NPOのスタッフとして真備地区で活動を続けている筆者は「ボランティアと自治体との連携があってこそ、被災者へのサポートができる」と確信した。

防災意識が高い真備地区のはずが……

 真備地区は明治以降、11回豪雨の被害に遭っていた。本流の高梁川と支流の小田川が交わる地形。高梁川の水位が小田川より高くなることで、小田川へ一気に水が押し寄せ、堤防が決壊してきた。そのため、日頃から住民に対してハザードマップを周知してきた。「真備地区は防災意識が高い」。筆者が真備地区住民や市職員から聞いた言葉だ。

 2018年7月6日午後11時、ロシアであったサッカーワールドカップ、ウルグアイ対フランスの決勝トーナメントが始まったころのことだ。ソファーに置いてあったスマホが突然鳴り響いた。川の水位が高いため、真備地区隣の矢掛町に住む筆者の叔父が小田小学校に避難したと従弟から電話があった。小田川の水位を天気・災害の情報サイトで確認しながら、それでも明日には大丈夫だろうと思いながら床に就いた。

 日付が変わった7日午前6時ごろ、真備地区の有井に住む広瀬美砂さんは、水位が高くなりアパート1階から2階へ移動した。どこからか子どもの「助けて」との声が聞こえてきた。1階の窓では、男性が顔をのぞかせて「ドアが開かない」と叫んでいた。避難中の男性と力を合わせてドアを壊し、アパートの中の男性を助けた。2階に水が届きかけた8日午後3時ごろ、自衛隊のボートが到着した。一度に乗れるのは15人まで。子どもや高齢者を先に避難させた。ボートに乗っていると濁流となった水はコーヒー牛乳色で、工場の汚水が混じり鼻をつく臭いがした。

 岡山県によると県内の死者は68人、行方不明3人、家屋の全半壊8184棟だった。とくに倉敷市真備地区の被害は甚大なもので死者51人、家屋の全半壊は5300棟を超えた。

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最終更新:5/9(木) 13:57
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