ソフトバンクグループが10兆円規模の投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の上場を検討していると複数の海外メディアが報じています。同社はコメントを控えていますが、もし上場検討が事実であれば、何を目的にファンドを上場するのでしょうか。またファンドが上場することは事業会社が上場することと何が違うのでしょうか。
ソフトバンク・ビジョン・ファンドは、ソフトバンクが中心となり、サウジアラビアやアブダビの政府系ファンドなど外部の投資家から資金を集めた巨大ファンドで、2017年から運用を開始しています。投資先にはライドシェアのウーバーやAI向け半導体製造のエヌビディアをはじめとして、ビジネスチャットのスラック、シェアオフィス賃貸のウィーワークなどトップクラスのITベンチャー企業が名前を連ねています。
同ファンドが上場する理由のひとつは投資家の換金性の確保です。ファンドのままでは出資した投資家は規約の範囲でしか換金ができませんが、ファンドが上場すれば、理屈上はいつでも資金を回収することができます。
これに加えてソフトバンクの業績をさらに拡大させるという効果も期待できそうです。同ファンドは現時点でもソフトバンクの連結決算の対象となっており、ファンドの運用成績はソフトバンクの業績を左右します。出資先にはまだ上場していない企業も多く、こうした非上場企業については、時価総額を一定のルールに基づいて算定しています。もしファンド自身が上場すれば、市場で明確な時価総額が付き、現在の算定額よりも大きくなる可能性がありますから、その分だけソフトバンクの連結業績も拡大することになります。また、ファンドが上場すれば誰でも同ファンドに事実上、参加できることになりますから、投資家の裾野が広がります。同ファンドの上場をきっかけにさらに次のファンドを組成する可能性も十分にあるでしょう。
もっとも、事業会社の上場とは異なり、ファンドの上場にはあまり意味がないとの指摘もあります。ファンドの価値というのは、基本的に投資した会社の価値の総額となりますから、ファンドそのものが本質的な価値を生み出しているわけではありません。上場することで、ファンドに出資できない一般の投資家にも投資機会を与えるという意義はありますが、あまりファンドの上場をやり過ぎてしまうと、市場の価格形成機能を歪めてしまう可能性があります。しかしながら、ソフトバンクの孫正義社長は投資をさらに拡大したい意向といわれており、同社は当分の間、ファンドを活用した資金調達が続きそうです。
(The Capital Tribune Japan)
最終更新:2019/5/10(金) 11:40
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