ここから本文です

リオ五輪マラソン金キプチョゲ「2時間切り」に再挑戦の真意

5/11(土) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

「周到な準備」と言えそうだ。

 男子マラソンで2時間1分39秒の世界記録を持つエリウド・キプチョゲ(34=ケニア)が今秋、2時間切りに再挑戦することが6日に発表された。前回、2017年にイタリア・モンツァのF1サーキットで挑戦した際は2時間0分25秒に終わったが、人類初の1時間台まで26秒に迫った。

 今回は場所を英国に移すが、風よけを兼ねるペースメーカーや並走した自転車から飲み物を受け取るなどの「補助」は前回同様に受けるようだ。

 そんな状況で2時間を切っても非公認記録だし、「そもそもサポートを受けての記録では意味がない」との声もあるが、スポーツ心理学者の児玉光雄氏は「そんなことはありません」と、こう続ける。

「コースやサポート態勢がどうあれ、現実に自分の足で2時間を切れば、その経験によって本人の意思とは別に生理的にリミットが外れ、セルフイメージが書き換えられる。脳に2時間を切ったという事実がインプットされるのです。世界記録の再更新とともに、公式レースでの2時間切りの可能性も高まります」

 確かにキプチョゲは17年5月に非公認で2時間0分25秒を出した翌年9月、ベルリンで世界記録を更新している。

■達成すればその後も続々と

 さらに児玉氏はこんな「効果」もあるという。

「1950年代までは、1マイル(約1・61キロ)走で4分を切るのは医学的にも不可能といわれていた。ところが54年にロジャー・バニスターという英国の選手が世界初の3分台(59秒04)で走ると、それから約3年の間に15人ぐらいが4分を切った。これは選手たちに共通していた『4分切りは絶対に無理だ』というメンタルバリアが外れたからです。キプチョゲが2時間切りを達成すれば、能力の高いケニアやエチオピア勢からは何人も『達成者』が出てくるはずです」

 スケールは小さくなるが、国内でも昨年2月、設楽悠太が16年ぶりにマラソンの日本記録を更新(2時間6分11秒)した約7カ月後には、大迫傑がシカゴで2時間5分50秒の日本新記録を出したのは記憶に新しい。

 来年の東京五輪で日本人がキプチョゲに勝てるとは思わないが、五輪連覇を狙うキプチョゲでもここまでやっているのだ。地元五輪で惨敗が許されない日本選手も、極端なスピードや酷暑のレースを体験してみるのも一つの手ではないか。

最終更新:5/11(土) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事