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欧州テロ情報、強化 収集へ政府、組織を新設

5/13(月) 6:30配信

毎日新聞

 政府は今年度、各国の情報機関とテロ情報を交換する組織「国際テロ情報収集ユニット(CTUJ)」に「欧州班」を新設した。従来、イスラム過激派などの動きが活発なアジア、中東、アフリカに置いていた。だが、近年は欧州でのテロが頻発しており、テロに関する情報の入手体制を強化し、在外邦人の安全を確保する狙いがある。2020年東京五輪・パラリンピックなど国内での大規模イベントが控える中、日本国内でのテロ事件の未然防止にもつなげたい考えだ。

 CTUJは首相官邸直轄で、各国の在外公館に要員を配置し、その国の情報当局幹部・スタッフと接触してテロ情報を収集する。これまでは、東南アジア▽南アジア▽中東▽北・西アフリカ――の各班が活動してきた。新設の欧州班の班長には滝沢裕昭内閣審議官が就任した。滝沢氏は警察庁出身で、各班を統括するユニット長も務める。要員は今後、配置する。

 欧州では昨年12月にフランス・ストラスブールで男が銃と刃物で通行人を殺傷。17年5月には英国・マンチェスターのコンサート会場で自爆テロ事件が起きるなど多数が死傷するテロ事件が相次ぐ。外務省によると、17年10月時点で西ヨーロッパに3カ月以上滞在している日本人は約15万人に上り、短期滞在の観光客を含めた日本人をテロから守るための情報収集の強化が課題となっていた。

 欧州には、かつてアフリカなどで植民地を統治していたために今でも現地情報の蓄積を続けている国もあり、政府はアフリカやアジアなどのテロに関する情報の取得も想定している。一方で、欧州では、国際社会で存在感の高まる中国の情報への関心が高まっており、各国は日本の情報収集・分析の結果に期待を寄せている。

 在外公館の要員は、「日本のCIA(米中央情報局)長官」(首相官邸幹部)とも言われる滝沢審議官の代理として、相手国の情報当局高官にも接触が可能だ。昨年10月にシリアで約3年にわたって武装組織に拘束されていたフリージャーナリストの安田純平さんが解放された際は、トルコの大使館に配置されていた職員らがトルコ、カタール両国を通じて解放を働きかけた。先月21日のスリランカ連続爆破テロ事件で日本人が死傷した際も、日本から現地へ職員を派遣し邦人保護などを行っている。【青木純】

 ◇国際テロ情報収集ユニット

 アルジェリアで2013年に起きた邦人へのテロ事件を教訓に15年12月に発足した。警察庁や外務省、内閣情報調査室などから語学や現地事情に通じた職員を集め、現在の要員数は約90人で、発足当初(約40人)の倍以上。半数程度を在外公館に配置し、残りは国内でインターネットを通じた海外情報の収集などに当たる。

最終更新:5/13(月) 6:30
毎日新聞

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