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交通事故で子どもが犠牲に…親たちの「心の傷」へのサポートは

5/13(月) 10:01配信

AbemaTIMES

 滋賀県大津市で園児2人が亡くなった痛ましい交通事故。事故原因の究明、安全対策、マスコミによる取材のあり方など様々な論点があるが、もう一つ、考えなければならないことがある。それが被害者をはじめ、事故に関係した人々の心の傷である。

■長女とお腹にいた孫を失った中江さん「苦しみは悪化するもの」

 かつて交通事故で長女とそのお腹にいた孫をも失い、現在も心の傷と闘っている中江美則さんは「穏やかな心には戻れないし、心底笑うことはない。人様をみて羨んだりもしてしまう」と話す。車を運転していたのは無免許の少年で、夜通し遊んだ末の居眠り運転が事故の原因だった。事故後、中江さんたちは悪質な運転による事故の厳罰化を求める活動を続け、2013年11月には「自動車死傷行為処罰法」が成立した。しかし、活動中には心身の変調を来した。医師の診断は「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」で、薬の服用を勧められたという。

 大津市の事故について中江さんは「苦しみは悪化するもの。若いお父さん、お母さんが耐えていけるのか心配になるばかりだ。正直にその人が“苦しい“と言える状況を作ってあげるべきだと思う。正直に“助けて!“と言える瞬間というのを。大津のご遺族…“ご遺族“と、いうのがまた辛くなる。まだ葬儀も終わってないのに。見送ってもないのに。だから、そういうふうな報道は少し控えてあげてほしい。何で僕らだけで終わらなかったのかなと…」と、涙ながらに語った。

 中江さんを悩ませた「PTSD」は、深刻な心の傷(心的外傷)や大きなストレスを受けたあと、フラッシュバック、めまい、頭痛、不眠、うつ状態などが続く障害だ。「犯罪被害者等施策講演会」の資料(2005年)によれば、交通事故などの被害者のうち75.5%がPTSDを発症している。ただ、これは被害に遭った本人の数値で、周辺の関係者も含めると、より多くの人が悩み、苦しみを抱えていると考えられる。

 交通事故で大学生だった息子を亡くし、現在はNPO法人「いのちのミュージアム」代表理事として被害者家族の支援活動を行う鈴木共子さんは「私の場合もそうだが、家族だけでなく、悲しみが放射線状に広がっていくと感じている。PTSDという名前が付くわけではないが、症状は皆が抱えている」と指摘、「自ら動いて、助けを求めるということもとても大事だと思っている」と話す。

 「私も当初は事故を振り返ることでフラッシュバックすることがあった。あれから19年が経つが、今だに事故が起きた桜の季節になると情景が蘇ってきて苦しくなる。私達は“命日病“と呼んでいるが、何年、何十年と経とうが、それを皆さんが抱えながら生きていて、回復はあり得ないだろうと思う。また、最初は加害者に対する罰則強化の署名活動を展開した。それはまさに怒りがエネルギーになって、行動できたと思っている。ただ、怒りを持ち続けるのは辛い部分がある。今は許すでもなく、憎むでもないという心境だ」

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最終更新:5/13(月) 10:01
AbemaTIMES

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