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日立が3年間で2.5兆円の成長投資、その中身に要注意

5/13(月) 10:01配信

ニュースイッチ

1兆円はABBの事業買収費用、あとはIoTへ重点配分

 日立製作所は2019―21年度の成長投資(設備投資除く)として、累計で前3カ年比5倍の最大2兆5000億円を充てる。IoT(モノのインターネット)共通基盤「ルマーダ」などIT分野のほか、M&A(合併・買収)を含めてロボットなど産業システム構築分野へ重点投資する。今後3年は従来の業績回復モードから、力強い成長モードへかじを切る。

 東原敏昭社長は10日の新中期経営計画説明会で「稼ぐ力がついてきた。V字回復モードに終止符を打って、新たなステージに立ちたい」と力を込めた。19―21年度の新中計では成長投資として累計2兆―2兆5000億円を予定。20年半ばに予定するスイス・ABBの送配電事業買収費用の約1兆円を含む。

 「社会イノベーション事業でグローバルリーダーになる」(東原社長)とし、21年度に売上高を倍増させるルマーダと周辺機能拡充に力を入れる。また、ドイツにコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)新会社を6月に設立して、1億5000万ドル(約165億円)以上をベンチャー投資に振り向ける。

 新中計では個別の業績目標数字を示さなかった。21年度は売上高に当たる売上収益の成長率で年3%超を目指す。営業利益率を18年度の8・0%から10%超に高める。

「電機復権」のカギは?

 平成の30年は、電機王国が落日した30年だった。家電や半導体で世界をけん引した日本の電機産業が追われる立場から追う立場に変わった30年でもあった。「令和時代」は、身の丈に合わせた道を探るのか、それとも覇権とりに再び動くのか。平成が電機産業に残した問いは重い。

 電機各社にとって転換点となったのは08年のリーマン・ショックだ。財務の立て直しが遅々として進まなかった企業も、急激な景気悪化を前に、事業の取捨選択に取り組まざるを得なかった。

 7873億円。日立製作所は09年3月期に製造業として史上最大の当期赤字を計上した。子会社から社長に呼び戻された川村隆氏(現東京電力ホールディングス会長)は、それまで「君臨すれど統治せず」とも言われた日立本体に企業統治(ガバナンス)の思想を持ち込んだ。日立マクセル、日立プラントテクノロジーなど上場5社を取り込み、社内カンパニー制を導入。当時、聖域ともされた事業ポートフォリオの見直しにも着手した。結果、19年3月期は営業利益で過去最高を更新した。さらに最近になって上場子会社の日立化成の売却も検討、事業資産の入れ替えを加速させている。

 パナソニックも12年3月期、13年3月期と2期連続で7000億円以上の赤字を出したが、家電から住宅や自動車など産業向けに軸足を移して業績を回復させた。

 象徴的なのはソニーだろう。リーマン・ショック直後の09年3月期から12年3月期まで4期連続で最終赤字。12年に就任した平井一夫社長(現会長)は、人員削減や資産売却、テレビ事業の分社化やパソコンブランド「VAIO」売却を立て続けに敢行。

 本業のエレクトロニクス部門も16年3月期に黒字転換した。家電からゲームや半導体に軸を移し、18年3月期は過去最高益を叩き出した。

 とはいえ、世界との距離は縮まっていない。営業利益率でソニーは9%近くまで上昇しているが、米アップルは15―17年度の平均で28・4%と3倍以上の数値で推移している。ソニーは業績は好調ながらも世界シェアが1%未満にとどまるスマートフォン事業など課題もある。

 日立も悲願の営業利益率10%を視野に入れる。今後「稼ぐ力」でカギになるのはIoT(モノのインターネット)分野だが、独シーメンスが先を行く。

 現場の機器のデータを吸い上げ、分析し、生産効率化につなげられる市場は大きく広がる。だが、米ゼネラル・エレクトリック(GE)が失敗したように、産業機器は種類が多く、構成が複雑なためデファクトスタンダードを握るのは難しい分野だ。

 米グーグルが電力事業に触手を伸ばすなど、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)もサイバー空間だけでなく産業用途の世界にも事業を広げつつある。戦いたい市場でなく、勝てるところで戦うしたたかさ。それこそが日本の「電機復権」のカギを握るかもしれない。

最終更新:5/13(月) 10:01
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