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【RCA-IIS Tokyo Design Lab マイルス ペニントン教授】企業とイノベーションの「今」を読み解き、未来をつくる、デザインの視点

5/13(月) 15:59配信

SENSORS

東京大学生産技術研究所(IIS)、英国の王立美術大学Royal College of Art(RCA)、博報堂ブランド・イノベーションデザイン、株式会社SEEDATAの四者は2018年6月から、デザイン・リサーチ・プロジェクト「Foresight Project “Future of Luxury“」をスタートさせています。

2016年末に東京大学生産技術研究所(IIS)とRCAが共同で立ち上げた、RCA-IIS Tokyo Design Labでは、デザインの力で、最先端のテクノロジーを社会に実装可能なイノベーションとして展開することを目指して活動してきました。

本プロジェクトでは、東京大学生産技術研究所が持つ先端技術研究と、数々のイノベーションを創出してきたRCAのメソッドによってアイデア開発を行います。そして、博報堂・SEEDATAによる生活者発想・未来発想を起点としながら、デザイン思考のプロトタイピング力で新しい未来像を描き出すことを目的としています。

今回は、長年RCAで学科長として教鞭を執り、2017年9月から東京大学生産技術研究所に教授として着任した、マイルス ペニントン教授にこのプロジェクトへの思い、未来における企業とデザインの関わり方について聞きました。

【企業のオープンプラットフォームを実現する】

――RCA-IIS Tokyo Design Labは、東京大学生産技術研究所とRCAとのコラボレーションによるデザインプロジェクトですが、どのようにして生まれたのでしょうか?


マイルス:RCAはサイエンスとテクノロジー、そして工学における繋がりを戦略的に強化しようと考えてきました。それが「Global Design Labs」と呼ばれる構想です。世界中に小さなラボを持ち、RCAのグローバルな視点を活かしながら地域の課題にアプローチしようと考えていました。

この構想が日本で実現したものがRCA-IIS Tokyo Design Labなのですが、キーパーソンとなってくれたのはRCAの客員教授であり、私の友人でもある、デザイン・ イノベーション・ファーム「Takram」代表の田川欣也氏でした。彼が私と東京大学生産技術研究所の山中俊治教授を引き合わせてくれたのです。その出会いは運命的でした。 山中教授は「Design-Led X」という、デザイン思考を取り入れた教育や研究を推進する試みをスタートさせていました。対する私は、まさに東京大学生産技術研究所が持っているサイエンスとテクノロジー、そして工学との繋がりを求めていた。

東京大学生産技術研究所の魅力は、その活動領域です。ミクロな世界は量子レベルまで、マクロな世界は宇宙レベルまでの対象を研究する部門を持ち、工学系であればほぼすべての分野を扱っています。
お互いに求めているものがぴたりと一致し、生まれたのがRCA-IIS Tokyo Design Labだったのです。


――RCA-IIS Tokyo Design Labは、今回の博報堂とのデザイン・リサーチ・プロジェクト「Foresight Project “Future of Luxury“」にどのような期待をしていますか?


マイルス:RCA-IIS Tokyo Design Labの核心は、デザインを用いてサイエンスからイノベーションを生み出すことです。そのためには、いわゆる実社会、産業界、そしてアカデミアという普段は異なる世界にあるものを結びつける必要があります。それゆえ、RCA-IIS Tokyo Design Labは、大学のプロジェクトということもあり、この三者に対し中立的な立ち位置を保っています。

このプロジェクトの魅力は、そうしたRCA-IIS Tokyo Design Labの特性を活用し、企業に対しリサーチのためのオープンプラットフォームを提供できることです。 普段は競合にあたるような企業が同じテーブルでディスカッションし、コラボレーションしなければならないことも生じてきます。 実社会では、企業はその機密を守るため、互いに協働することは難しいですよね? しかし企業の垣根を超えたコラボレーションが時にイノベーションを創出することもある。
企業間で知見を共有することも、時には損失でなく利益につながる可能性があることを、この場所、そしてこのプロジェクトを通して感じてもらえることを願っています。


――このプロジェクトは、ある意味ではRCAの教育に似ています。RCAでは非常に多様な人々が集まっていると聞きました。デザインのバックグラウンドを持たない人、たとえば会社員のような人もみな、デザイナーとして学んでいますよね。


マイルス:そうですね、私たちは「違いが違いをもたらす」と言っています。多様で互いに異なる人が集まる環境が、他と異なる、新しいアイデアを生むという意味です。それがイノベーションにとって重要だとRCAでは考えられているのです。

よってRCAでは多様なバックグラウンドを歓迎しています。心理学の学位を持つ人、工業デザイナーとして10年の経験を持つ人、大学を卒業したばかりのエンジニア、みんなが同じテーブルでデザインを学びます。
彼らにグループワークで課題を与えると、それぞれにバックグラウンドが異なるため、詳しい人とそうでない人がいます。そこで学び合いが生まれるのです。私は、RCAの生徒たちの学びのうち80%がこうした学び合いによってもたらされていると考えています。

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最終更新:5/13(月) 15:59
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