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航空法を守らない米軍 米軍を守る改正案 「空の産業革命」に壁 <ドローン目隠し法案4>

5/13(月) 21:25配信

沖縄タイムス

 「空の産業革命」が近い。主役は小型無人機ドローン。沖縄県内の現場でも活躍が始まっている。

【空自宮古島分屯基地の空撮写真】撮影後、自衛官が本紙記者を警察に通報した

 土木工事で上空から現況を測量する。どこの土をどれだけ切って、盛ればいいか。設計図に従って建設機械に指示を送り、さらに完成後の検査も担う。ドローンを導入した設計会社の役員は「危ない場所を機械に任せ、人手不足にも対応できる」と効果を実感する。

 参院審議が始まるドローン規制法改正案は、司令官の同意がない基地周辺の飛行を禁止する。ただ、同社は今も自主的に沖縄防衛局に届けていて、影響はないとみる。「事件事故を防ぐのが目的。正規に運用している業者にとってはありがたい」と歓迎する。

 懸念の声もある。「本島のほとんどの地域が飛べなくなる。沖縄のドローン産業だけが不利になる」。県内でドローン撮影や測量をいち早く始めた映像制作会社ジー・グリップ(浦添市)代表の仲宗根清伸さん(60)はこぼす。

 ドローン宅配は実現間近。「空飛ぶ車」の開発も進む。無限の可能性が広がる一方、沖縄では基地と周辺の飛行禁止区域が壁となって立ちふさがる。

 さらに、区域外であっても米軍機が縦横無尽に飛ぶ。航空法は本来、高度150メートルを境に上が航空機、下がドローンとすみ分けを定める。だが、米軍機は航空法の適用を除外されている。

 仲宗根さんは、自分が飛ばすドローンより低空で米軍ヘリが飛ぶのを何度か目撃している。「一番怖いのは米軍機。こっちがルールを守っていたとしても、逃げるしかない」

 米軍は航空法を守らない。ドローン規制法改正案は米軍を一方的に守る。

 ■ ■

 基地周辺は、約300メートルの範囲が飛行禁止区域になる。うるま市役所の近くはキャンプ・コートニーなどが散在し、各基地の禁止区域で一帯が塗りつぶされてしまう。

 団体職員の宮城英和さん(70)の自宅は、キャンプ・マクトリアスから約200メートル。近い将来、ドローン宅配を利用しようとしても難しくなりそうだ。「沖縄は狭い土地に米軍基地が散らばり、少し手を伸ばせばフェンスがある状況。せっかくの恩恵も受けられなくなる」

 うるま市内の学校では最近、行事の記念撮影にもドローンが使われている。「子どもたちの大切な思い出さえ残せなくなるかもしれない」。基地周辺というだけで民間地に制限が及ぶ。「理不尽じゃないですか」と問い掛けた。(中部報道部・平島夏実、宮城一彰、編集委員・阿部岳)

 [ワンポイント解説]基地上空でドローンを飛ばすには司令官の同意、周辺約300メートルでは司令官または地主の同意が文書で必要になる。ただ、飛行ルート下の全ての地主を探して同意を得るのは困難が予想される。
>>五輪を前面、反対しにくい空気 「なぜ一律規制なのか」 <ドローン目隠し法案(5)

最終更新:5/17(金) 6:15
沖縄タイムス

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