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航空機の電動化、ハイブリッドが当面主流に 特集・ロールスロイス スタインCTOに聞く(後編)

5/14(火) 13:08配信

Aviation Wire

 次世代航空機の姿を考える上で、電気飛行機などエンジンの電動化は大きなテーマだ。ロールス・ロイスは今年3月に、ガスタービンエンジン「M250」を使ったハイブリッドシステムの地上実証試験に成功。2021年に実施予定の試験飛行に向け、弾みを付けた。

 M250は、固定翼軍用機や民間機、ヘリコプターなどに採用されている。今回の地上試験では、ハイブリッド版M250を機内電池システムを充電するタービン発電機として機能させる「シリーズ・ハイブリッド」、機体の推進力をエンジンと電気システム双方から得る「パラレル・ハイブリッド」、エンジンをタービン発電機として使う「ターボエレクトリック」と、3種類の運転モードでテストした。

 このシステムは、500キロワットから1メガワットの出力を持つ推進プラントとして使用することを想定。リージョナル機向けなどには、より大型のAE 2100 2.5メガワットシステムを開発中で、エアバスのE-Fan X試験機で試験が行われている。

 本特集の前編では、エアバスA380型機やA350 XWBなどが採用するロールス・ロイスのエンジンについて、同社の技術研究分野を統括しているポール・スタインCTO(最高技術責任者)に現状と今後を聞いた。後編では、電気航空機の将来像などを取り上げる。

◆電気飛行機の主流は当面ハイブリッド

── 民間機向けエンジンの電動化プロジェクトの進捗を教えて欲しい。

スタイン氏:電気航空機は3つのサイズで考えている。

 一つ目は短距離で、ヘリコプターのエンジンをカバーする規模だ。二つ目はリージョナル機で、乗客数20人から90人程度、航続距離1000キロ程度の機体、三つ目は中大型機だ。

 一つ目については、英国のスタートアップ企業と研究を進めており、いろいろなメーカーと話をしている。2021年ごろから飛ぶこともあり得るが、パートナー企業の意向によるところがある。

 二つ目は、リージョナルジェットやエアバスのE-Fan Xのサイズで、発電機がファンと組み合わせて動くことで2メガワットの電力を発電できる。ロールス・ロイスとエアバスが、こうした動力が使えることを証明していく。実際に使われるのは、2025年から2030年の間のどこかになるのではないか。

 三つ目の中型機から大型機については、ゆっくりとした電動化になるだろう。実際に使われることは2030年まではない。

── 100席前後の旅客機が電動化されるのはいつ頃になると見ているか。

スタイン氏:プロペラ機の変化はゆっくりだろう。電動化システムを搭載すれば燃費が良くなり、短い滑走路でも離着陸できるようになるだろう。

 ロールス・ロイスとしては、リージョナルジェット市場がまだまだ成長するだろうと考えている。

── 航空機は将来、ハイブリッドからフル電動化に進むのか。

スタイン氏:ノーだ。もっとも小さい機体以外は、ハイブリッドを何年も使い続けるだろう。バッテリー技術が求められるペースに合わせて進化していくかはわからないが、ハイブリッドを中心に考えている。

 しかし、もっとも小さいサイズで飛行距離が短い航空機については、ピュアエレクトリック化はあるだろう。練習機は電気飛行機になるかもしれない。長距離を飛行する航空機は、今後少なくとも15年は純粋なガスタービンエンジンだろう。

  ◇ ◇ ◇

 今後の航空機用エンジンの進化について、スタインCTOの話を総合すると、次世代エンジンを採用した機体が飛ぶのが2025年から2030年ごろ。A350のような大型機は、2035年ごろまでは電動化されることはなさそうだ。

 一方で、ヘリコプターのようなサイズは同時期にハイブリッド化が進むとみられ、練習機のように限られた用途の機体については、電気飛行機が採用される可能性もゼロではないだろう。

 ガスタービンなどのエンジンを手掛けてきたロールス・ロイスは、今後どのように航空機を進化させていくのだろうか。

Tadayuki YOSHIKAWA

最終更新:5/14(火) 13:08
Aviation Wire

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