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「フォークソングや歌謡曲から影響受けてる」20代新生バンドが奏でる、若き骨太なロックンロール

5/14(火) 10:30配信

エキサイトミュージック

今やメディアや大型ロック・フェスでバンド名を目にする機会も増えたため、SIX LOUNGEの名前がインプットされている人も多いのではないだろうか。大分発のトリオが3曲入りニュー・シングル「天使のスーツケース」を完成させた。今作も聴き応え十分のナンバーを揃えており、シンプルなサウンドにありったけの情熱やロマンを封じ込め、聴く者のハートを根こそぎ奪う歌と演奏が素晴しい。

また、彼らはライブ・パフォーマンスにも定評があり、3ピースで荒々しく突き進む演奏は迫力満点で、観る者を惹き付けるオーラを解き放っている。今回はヤマグチユウモリ(Vo/G)、イワオリク(B/Cho)、ナガマツシンタロウ(Dr/Cho)のメンバー3人に結成からルーツ音楽、さらに筆者が彼らの地元・大分出身ということもあり、普段はあまりしないであろう地元トークも織り込んでみた。

音楽のルーツ「ギターの入りは井上陽水とか吉田拓郎」
――エキサイトニュースで初登場になるので、バンドの成り立ちから聞かせてくだいさい。元々、ヤマグチユウモリ(以下、ヤマグチ)さんは高校の音楽科に進み、そこで現在のメンバーと出会ったそうですね?

ヤマグチ:そうですね。県立の高校でクラシックを基本的に学んでました。で、入学したときからバンドをやろうと思い、最初は違うドラマーを誘う予定だったけど、音楽室からボコスコ音が聴こえてきて、見てみたら居たのがナガマツシンタロウ(以下、ナガマツ)だったんですよ。それで最初に誘おうと思っていた奴を忘れて、シンタロウを誘いました。

――声をかけられたときどう思いました?

ナガマツ:小さい頃から一人でずっとドラムを叩いていたので、いつかバンドをやりたいと思ってましたからね。

ヤマグチ:(ナガマツは)同じクラスで何となく面白い奴だなあと思って。自己紹介ですごく暗くて……斜め下を向きながら、「好きな食べ物はプリンです!」って。

――(笑)。

ヤマグチ:プリンって本当に好きじゃないと言えないじゃないですか。

――プリンは本当に好き?

ナガマツ:……好きですね(笑)。

――バンドを立ち上げた頃はどんな活動を?

ヤマグチ:最初は毛皮のマリーズや斉藤和義さんの「Are You Ready?」をカバーしてましたけど、すぐにオリジナルをやってました。当時から歌詞は書けなかったから、丸投げしちゃって。

――それでシンタロウさんが歌詞を担当することになったと。そして、結成3年目に(イワオ)リクさんが加入する流れになりますが。

ヤマグチ:俺らライブのチケットが売れなくて、とりあえず周りの奴にチケットを売ってたんですよ。

イワオ:売れてないチケットがあると、俺のところに連絡が来て、今何してるの? チケット買ってライブに来いよ! と言われて。

ヤマグチ:決まってこいつは何もしてなかったから。いいカモでした(笑)。

――3人で初めてスタジオで合わせた感触はいかがでした?

ヤマグチ:リクがヴァイオリンベースを持っていたのは覚えてます。ポール・マッカートニーが持ってるようなやつですね。

イワオ:3万ぐらいのやつなんですけど、それでマキシマム ザ ホルモンのコピーをやってました。普通にやってもペコペコしか鳴らないから、エフェクターで音を歪ませてましたね。あと、初ライブのときに衣装とかわからないから、何を着ればいいんですかね? と聞いたら、ロックは裸やろう! と言われて。俺だけ上半身裸でめちゃくちゃ引かれました。

――ははははは。では、3人の音楽ルーツというと?

ヤマグチ:ギターの入りは井上陽水さん、吉田拓郎さんとか、フォークソングですね。親父の友達がフォークソング大好きで、その人からCDをもらったり、ハーモニカをもらったりして。当時フォークにはすごくハマりました。曲どうこうよりも、弾いて歌えることが嬉しくて、曲は後から好きになった感じですね。それから洋楽や邦楽のロックも聴いて、ミッシェル・ガン・エレファントとか聴くようになりました。

――SIX LOUNGEの楽曲も歌がど真ん中にありますけど、それはフォークソングや歌謡曲の影響が大きい?

ヤマグチ:大きいっすね。昔のアイドルも好きです。(松田)聖子ちゃんとか、家にベストがありましたからね。森高千里さんも聴いてた気がする……森高さんは今でもマジでかわいいですよね? 一番カワイイですよ!

――(笑)SIX LOUNGEの音楽もどこか切なさが漂ってますね。

ヤマグチ:メジャーからマイナーに行く感じとか、切ないのは好きですね。そういう音楽を多感な時期に一番聴いてきたからでしょうね。

――シンタロウさんは?

ナガマツ:最初はクイーンを聴いて、洋楽にハマりました。それからメンバーに斉藤和義さんを教えてもらって聴くようになりました。

――おばあちゃんがクイーン大好きだったそうですね。

ナガマツ:そうですね。ほかにはない音楽だし、ドラムもすごく好きで、自分もロジャー・テイラーみたいに目立つドラマーになりたいですね。

――両親はモトリー・クルーも聴いてたそうですね?

シンタロウ:モトリー・クルーもそうだけど、パンテラ、Mr.BIG、スティールハート、エクストリームも流れてました。モトリー・クルーもドラマー(トミー・リー)が目立ちますからね。あと、祖父がジャズを聴いていたので、当時はそんなにハマらなかったけど、最近聴くようになりました。ほかに早川義夫、あがた森魚とか……ああいう暗い感じも好きですね。

――リクさんは?

イワオ:もともとベースやろうと思ったきっかけはレッド・ホット・チリ・ペッパーズで、それから洋楽を掘り下げて……ビートルズも好きですね。あとはウィーザー、オール・アメリカン・リジェクツ、最近だとファントム・プラネットのメロがめっちゃ好きですね。それからメンバー2人に出会って、ミッシェル・ガン・エレファントとか邦楽も聴くようになり、Droogも教えてもらいましたからね。最近、俺は原田芳雄さんにハマッてます。移動中に音楽を聴くことが多いので、安らぎの音楽を探しているのかもしれない(笑)。

「天使のスーツケース」で人間のよくわからない感情を歌詞で表現できた
――同じ大分出身のDroog、過去にスプット盤『地獄盤』も一緒に出したircleは上の世代にあたるわけですよね?

ヤマグチ:近い先輩がいなかったですからね。俺らが知ったときはDroog、ircle、hotspringも大分にいなかったので憧れてました。ライブも観に行ってましたからね。

――音楽的にも影響を受けてます?

ヤマグチ:めっちゃ影響受けてます。初期の俺らの音楽はめっちゃDroogですもん(笑)。大好きでした。別府のライブハウスにDroogを観に行って、ギターの荒金祐太朗さんが螺旋階段を降りてきて、「やべぇ、荒金さんだ! 写真撮ってもらおうぜ!」って。

あっ、そう言えば高校生の頃に重鎮のハードコア・バンドに呼ばれて、「反戦ギグ」というイベントに出演したことがあったんですけど。俺らがオープングアクトで、ライブ前に戦争を経験したおじいさんの話を聞いた後にライブをやったこともありますね。

――そんなこともあったんですか(笑)。ちなみに3ピースというバンド形態にこだわりはあります?

ヤマグチ:ずっとこの形でやっているから、いまさらという感じですね。憧れていたバンドは4ピースが多かったけど、3ピースでもかっこいいバンドはたくさんいますからね。ブランキージェットシティもそうだし、サンボマスターも大好きですね。3ピースで確立してるバンドはかっこいいなと。

――バンド的には去年メジャー移籍して、夏フェスにもたくさん出演したりと、露出も増えてますけど、何かしら心境の変化はありますか?

ヤマグチ:大分の服屋で働いてたんですけど、そこのバイトを辞めたりとか。

――大分市の「PARCO」もなくなっちゃいましたね。

ヤマグチ:PARCOもそうだし、FORUSもなくなったし、TOWER RECORDSなくなりましたからね。あと、関わってくれた人も増えたから、それは有り難いですね。

ナガマツ:去年ZIGGYの森重さんと話す機会があり、それは熱かったですね。ベロベロだったら、何を話したかまでは覚えてないんですけど。

イワオ:すごく楽しいですね。友達も増えたし、ライブ後にお酒を飲むので強くなっちゃいました(笑)。

――そして、今作は前作から約7カ月ぶりのリリースになりますが、去年に引き続き制作ペースもわりと早いですね?

ヤマグチ:曲はたくさんあったから、早くリリースしたい気持ちはありましたからね。

――3曲とも曲調のタイプは分かれてますが、どれも聴かせることに比重を置いた作風だなと。

ヤマグチ:特にコンセプトはなく、いままで通り好きなようにやっただけなんですけどね。3者3様というか、どれがリードになってもいい内容かなと。今回は聴いて飽きない3曲だし、自分でも繰り返し聴いてますからね。

イワオ:「天使のスーツケース」はみんなに伝わりやすい曲じゃないかと。「Lonely Lovely Man」は男らしさがバチッと出てるし、3曲とも俺らっぽさが出てますからね。まとまった作品になったと思います。

ナガマツ:3曲ともいい曲が揃ったなと。「天使のスーツケース」は疾走感があるから、そこが気持ち良くて。「DO DO IN THE BOOM BOOM」は踊れるし、「Lonely Lovely Man」はトゲトゲしさというか、曲に殺傷能力がある感じが好きですね。この3曲でうまくバランスが取れているんじゃないかと。

――3曲とも歌詞とサウンドはとてもマッチしてますよね。「天使のスーツケース」は切なさもありつつ、またここから行くぞ! という気持ちが伝わってくるナンバーです。

ナガマツ:新しい自分、新しい未来を見つめようって感じですね。「DO DO IN THE BOOM BOOM」はバカなことをして楽しかったらそれでいいいじゃんって。「Lonely Lovely Man」は孤独感、寂しさだったり、そこから来るよくわからない感情を歌詞で表現できたと思うから、それに共感してくれたらいいなと。

これからも大分を拠点に「上京したらライブをしなくなりそう(笑)」
――ここから地元にちなんだ話もしたいんですが、SIX LOUNGEは今も大分在住ですよね?

ヤマグチ:ずっと大分市ですね、3人とも。東京は悪の誘いがあるじゃないですか。俺は確実に乗っかる方だから、大分にいた方が誠実に音楽と向き合えると思います。

――大分の方が居心地いい?

ナガマツ:いいっすね。こっち(東京)よりはいいかな。落ち着けるし、ほどよく飲みに行けるところもあるから。人もそこまで多くないし、ちょうどいいです。

イワオ:住みやすいですよね、ご飯もうまいし。

ヤマグチ:どこで飯を食っても安いっすもん。家賃も安いし、この辺(東京某所)は6万ぐらいですか?

スタッフ:15万ぐらいじゃない。

ヤマグチ:大分だったら、15LDKぐらいいけますよ!

イワオ:15LDKって何なん(笑)。

全員:はははははは。

――大分は遊ぶところがあまりないじゃないですか。

ヤマグチ:飲みに行くぐらいですね。

――(大分市)都町で飲むぐらいですよね?

ヤマグチ:そうっす(笑)。その何もない感じがいいんですよ。ただ、街自体は狭いから。「シンタロウ君がこないだ都町(大分の繁華街)で酔っぱらっていた」って目撃情報がいろいろ来るから、それも面白いなと。

――大分は遊びに行く場所が限られてますからね(笑)。今後も上京せずに大分を拠点に活動していきたい?

ヤマグチ:はい、そのつもりです。東京に住んだら、人としてダメになりそうだし、バンド活動もおろそかになり、曲も作らなくなって、ライブもしなくなると思います(笑)。

取材・文/荒金良介

最終更新:5/14(火) 10:30
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