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「最初はケンカばかりでした」 大手家電メーカー出身の技術者がアイリスオーヤマに集まる理由

5/14(火) 7:00配信

ITmedia NEWS

 「これまでは新商品のアイデアはあっても、それを実現する技術力がありませんでした。ここに来てようやく両方がマッチするようになってきたんです」――アイリスオーヤマの家電事業部 統括事業部長の石垣達也氏は、こう話す。

業界初のIH炊飯器を開発

 大手家電メーカーがグローバル競争に苦しむ中、アイリスオーヤマの家電事業は好調だ。同社の2018年12月期(18年1月~12月)の業績は、グループ全体で4750億円(前期比13%増)と過去最高を記録し、アイリスオーヤマ単体で見ても1550億円(同9%増)と堅調に推移した。特に家電事業の売上高は810億円(同23%増)と好調で、単体売上高の半分以上を占める。

 同社は2009年にLED照明で家電事業に参入し、13年には大阪・心斎橋に家電の開発拠点を開設。大手家電メーカーの早期退職者を集めて技術力を強化し、その後は掃除機、炊飯器、エアコン、ドラム式洗濯機、液晶テレビなど続々とラインアップを増やしている。

 石垣氏は同社の開発チームを「さまざまなメーカーの出身者がいる多国籍軍」と表現する。それぞれの背景を持つ技術者が自由に発想することで、IH調理器としても利用できる分離型の炊飯器や、電源ケーブルをコンセントにつないで使用するスティック型掃除機「キャニスティッククリーナー」など、従来の家電の枠にとらわれないユニークな商品も生まれた。

 多様な人材が混在する開発チームについて、石垣氏は「最初は思想がぶつかって、けんかばかりでした」と振り返る。しかし、いまでは「若手からベテラン技術者まで幅広い世代が生き生きと働いています」と胸を張る。

「これまでとは全く違う」 大手家電メーカー出身者は何に驚いたか

 現在、大阪の家電開発拠点では技術者、知的財産・品質管理担当など含め100人ほどが働いている。石垣氏は「家電事業は特殊で、技術だけでなく特許や知財などの参入障壁があります。さまざまな知見を持つスペシャリストが集まることで、ようやく(商品を)形にできるようになってきたんです」と話す。

 13年の大阪拠点設立当初は関西に拠点を置く大手家電メーカーの早期退職者が多く集まっていたが、現在は関東からの中途採用も増えて東京・浜松町にあるアイリスグループ東京本部でも開発チームを組成している。

 中途採用のベテラン技術者たちは職人気質でそれぞれにこだわりもある。大阪拠点の設立から2~3年は思想の違いからうまく意見がまとまらず、中には退職していった人もいたという。

 石垣氏は「そんな状況を見るに見かねた会長(大山健太郎氏)がビルの上にラウンジを作って、そこでお酒を飲みなさいと言っていましたね」と笑う。

 残ったのは、ものづくりが大好きな現場主義の職人たちだ。大手家電メーカー出身者がアイリスオーヤマに入社して特に驚いたのは、(1)企画立案から商品開発まで全体の工程に関われること、(2)自由にアイデアを出せる風通しの良さ、(3)商品完成までのスピード感、だったという。

 大手家電メーカーの場合、縦割りの事業部制が弊害になることも少なくない。例えばIH炊飯器のようなものは、IH事業部と炊飯器の事業部が分かれている場合はなかなか実現しにくいものだ。

 中途組の中には「商品開発の一部分のみを担当していたため、最終的な商品の完成形は発売されるまで分からない状態だった」と話す人もいたという。ベテラン技術者の中には、アイリスオーヤマに入社して初めて企画立案を体験した人もいる。

 また企画立案をできる立場にいた人でも、部門間の根回しに追われるなど苦労も多かったようだ。稟議のために30個ほどの“印鑑リレー”をさせられていた人もいた。

 アイリスオーヤマでは、社長の一言で新企画が即決されることもある。

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最終更新:5/14(火) 13:48
ITmedia NEWS

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