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頻繁な胃もたれで楽しく食事ができない…原因は「機能性ディスペプシア」かも

5/14(火) 12:20配信

Medical Note

◇多様な症状

機能性ディスペプシアの患者さんは多種多様な消化器症状を訴えることが知られていますが、世界中の研究者が集まって議論して作成した胃腸の機能性疾患の世界基準「Rome IV」の中で、典型的な症状が診断基準として示されています。その中で特に強調されている症状は4つあります。

・1番目は「つらい食後のもたれ」。これは非常にわかりやすいかと思います。
・2番目は「食事開始前に予想したより少ない量の食べ物で胃が一杯になるように感じて、それ以上食べられなくなる感じ=早期飽満感(ほうまんかん)」というものです。これは日本人の感覚では理解しにくいものかと思いますが、簡単に訳せば、「食欲不振」ということで良いかと思います。
・3番目は「みぞおち(心窩<しんか>部)の痛み」で、これもわかりやすいかと思います。
・4番目は「みぞおちの焼ける感じ(灼熱<しゃくねつ>感)」です。患者さんで時々これをおっしゃる方もいらっしゃいます。

 上の2つの症状が強い方を「もたれ型」、下の2つの症状が強い方を「腹痛型」とすることもありますが、症状が混在している方も多くいます。

◇原因は1つじゃない?

機能性ディスペプシアの症状はなぜ起こるのでしょうか。原因として疑われているものはいくつかあります。1つは胃酸が症状を起こしているのではないかということです。胃液の中には塩酸が含まれています。試験的に食道、胃、十二指腸といった消化管に胃酸と同じ濃度の塩酸を投与すると消化器の不快感や痛みなどの症状を引き起こすことが知られています。また、患者さんの中で胃酸分泌を抑制する薬物によって症状が軽減する方が一定の割合でいらっしゃいます。これらが根拠となって“胃酸犯人説”を唱える医師、研究者もいます。しかし、それだけでは説明のつかないことも多々あります。

考えられる理由の2つ目は、消化管の運動異常です。「胃もたれ」という症状が、胃から食べ物が出ていく速度が遅れることを連想させるため、胃の排出能の低下が原因ではないかと考えられていた時期もありました。ですが、機能性ディスペプシアの方の一部にしか、遅れが認められないことがわかっています。胃の排出能低下とは別に、食べ物が胃に入ってきたときの胃のふくらみ方が悪いという運動異常もあると考えられています。胃の中にバロスタットという風船を入れる検査をすると、「もたれ型」の一部の患者さんでふくらみが悪いことがわかっています。しかし、この説でも、すべての患者さんを説明するには至っていません。

その他、ピロリ菌感染、消化管の知覚過敏、十二指腸の微小な炎症、心理社会的因子――なども疑われていますが、どれも決め手に欠けています。このため、現状では、機能性ディスペプシア自体が「さまざまな原因によって起こるものの集合体」ではないかと理解されています。

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最終更新:5/14(火) 12:20
Medical Note

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