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横綱鶴竜が実践する人材育成術~ ハラスメントの対極にあるもの

5/14(火) 19:03配信

VICTORY

パワハラをはじめ、各種のハラスメントが社会問題化している昨今で、権力を有する者の立ち振る舞いが見直されている。そんなご時世の状況改善や人材育成のヒントになるような珍しい現象が、大相撲界に起きた。12日から始まった夏場所で、錣山部屋に所属する彩(いろどり)が新十両昇進を果たした。どこが特筆すべきことかといえば、横綱鶴竜に付いて身の回りの世話をする「付け人」たちが続々と十両に昇進し、角界で一人前とされる関取になっているのだ。そこには、後輩たちの力士人生をより良い方向に導く鶴竜の生きざまと考え方があった。

▽背中の教え

鶴竜は井筒部屋に所属しているが、部屋の力士数の関係から、他の部屋の力士数人が付け人としていろいろな仕事をこなす。近年では彩の他にも大翔鵬(追手風部屋)、極芯道(錦戸部屋)らが十両昇進を経験した。中でも出世頭は、錣山部屋の阿炎だ。激しい突っ張りで土俵上を動き回り、横綱を倒す金星も挙げている人気力士だ。阿炎は「あの付け人時代がないと、相撲を辞めていたかもしれませんし、絶対に今の自分はありません」と断言する。付け人になったのは、一度上がった十両から幕下に転落していた2016年だった。思うように白星を挙げられず、自暴自棄になっていた時期に鶴竜の姿を身近で見て、貴重な人生勉強を積んだ。

阿炎は「人としての振る舞い、心の強さを学びました。満員のお客さんの前で勝っても負けても変わらない。たとえ負けても人に八つ当たりをせず、記者の方の質問に返答されていました」と説明する。角界の最高位に座りながら決しておごらず、黒星を喫しても感情にまかせて周囲に愚痴を漏らすこともない。自らとしっかりと向き合って日々の土俵に向かう言動を背中で教え、やんちゃだった若者を改心させた。

現在25歳の阿炎は続ける。「横綱はすごく大きい人なんだなと実感しました。自分も少しでも見習って少しずつでも変わっていけば、また上に戻ることができるんじゃないかと思い始めたんです」。生まれ変わると日常生活の面から見直した。相撲への鍛錬も重ねて十両に復帰し、幕内昇進へと突っ走った。

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最終更新:5/14(火) 19:03
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