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終身雇用の維持が難しい時代に サラリーマンの退職金は激減

5/14(火) 11:41配信

THE PAGE

減少する退職金 20年前の約6割に

 定年退職したサラリーマンに支給される退職金が激減しています。このところ高齢化が進み、定年の延長が義務付けられるなど企業の負担は大幅に増えています。社員の昇給を抑制したり、退職金を減額しないと制度を維持できなくなっているというのが実態のようです。

 厚生労働省の調査によると2017年に大卒の定年退職者に企業が支払った退職金の平均額は1788万円でした。ちなみに退職時の平均年収は約620万円となっています。簡単に言ってしまうと、退職時の年収の約3倍の金額が退職金として支払われている計算になります。

 ところが5年前の2012年においては、退職時の年収はほぼ同じであるにもかかわらず退職金の額は1941万円もありました。さらに20年前に遡ると、何と2871万円もありました。ちなみに20年前の退職時年収は760万円で、退職金は年収の約3.8倍でしたから、賃金も下がり、それを上回るペースで退職金が減っていることが分かります。

定年延長で企業の人件費増加 終身雇用の維持は困難

 日本は大企業を中心に終身雇用制度を採用しています。日本企業における社員の働き方はしばしば滅私奉公などと揶揄されますが、それは、定年まで雇用が保障され、しかも定年時には高額の退職金が支払われることが約束されていたからです。しかし現実には退職金は急ピッチで減らされており、今後はさらに拍車がかかる可能性が出てきています。皮肉なことですが、企業が退職金を減らしている最大の理由は終身雇用制度を維持するためです。

 日本では高齢化が進み、公的年金の財政が悪化していることから、将来の年金減額はほぼ必至の状況です。政府はこうした事態を受けて企業に対して定年を延長するよう求めており、最終的には70歳までの雇用を義務付ける方針と言われています。そうなってくると企業は総人件費が大幅に増加しますから、何らかの形で社員に支払う賃金を抑制しなければ利益を維持できません。

 このところ日本では実質賃金の低下が続いてきましたが、それは企業が終身雇用を維持するため、社員の賃上げを抑制しているからです。しかしながら70歳定年ということになると、賃金抑制だけではとても足りませんから、退職金の削減にも手を付けているわけです。

 こうした事態を回避するためには、終身雇用制度をやめる必要がありますが、中高年層を中心に終身雇用の維持を求める声は大きいというのが現実です。このままいくと、退職金の減額という形で、事実上、終身雇用制度が終焉を迎える可能性も出てきているといってよいでしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:5/14(火) 11:41
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