ここから本文です

犬猿の仲のふたり 9・11「復興」を超えたタイガーとフィルの物語/2002年ベスページの記憶

5/15(水) 18:00配信

ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)

今年の「全米プロ」の舞台は、ニューヨーク州のベスページ州立公園ブラックコース。マンハッタンの東50kmに位置するニューヨーカーの憩いの場で、初めてメジャーが開催されたのは2002年6月の「全米オープン」だった。

【写真】ウッズ会見 東京五輪出場熱望

前年の2001年9月11日、ニューヨークは米同時テロの標的のひとつになった。未曽有の被害を経験した街を重苦しい雰囲気が覆う中、「僕たちが普段集まる場所」で繰り広げられたライバル2人の優勝争いは“復興の象徴”を超える盛り上がりを見せたという。

JJ田辺氏の証言

カメラマンとして大会を撮影しました。

テロから約9カ月。正直に言えば、広い米国内ではテロの被害をもうあんまり身近に感じていない地域もありました。しかし、ニューヨークの街はどこか活気を失っていました。ハイジャックされた飛行機が突っ込んだワールドトレードセンタービルの近くは瓦礫が片付いておらず、近くの駅はまだ電車が通っていない状態でした。

テロ当時、ある放送局が毎日午後11時半からコメディ番組を生放送していました。日本で言えば『笑っていいとも』のような国民的番組です。テロの後、しばらくはニュースが流され、放送は見送り。その後、放送が再開された初回、出演する人気コメディアンが番組途中で「いま、笑うことなんかできない…」と泣き出したのです。普段よく見ていた番組だったこともあるかもしれませんが、そのシーンがすごく印象に残っています。

大会は開幕前、復興の象徴という扱いで報道されました。ベスページ州立公園の3つのゴルフコースは公営です。普段はジーンズでプレーすることが許される、ある意味“敷居の非常に低い”ゴルフ場です。傷ついたニューヨークの人たちは「僕たちが普段集まる場所だ」と、初めてパブリックコースでメジャー大会が開催されることに誇らしさを感じていました。

会場に行くと、テロ対策の厳重化に驚きました。いまでこそ時々目にしますが、警察犬をゴルフ場で見たのは初めて。さらに入場ゲートには、金属探知機を持った警備員が多数います。テロ被害を契機に空港でのセキュリティチェックはすごく厳しくなりましたが、ついにゴルフトーナメントも厳しくなったのかと思いました。テロがすごく身近な存在になっているんだ、と実感した瞬間でもあります。

街には重たい雰囲気もありながら、試合が始まれば、普段のメジャー大会と変わりなく、いや、それ以上に盛り上がりました。火をつけたのは間違いなく、タイガー・ウッズとフィル・ミケルソンです。いまでこそ練習ラウンドなどをともにしますが、当時の2人は犬猿の仲とされていました。そんな彼らが、最終日に優勝を争いました。

1/2ページ

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事