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裁判員制度10年 無断欠席なお3割超 候補者の辞退率は上昇傾向

5/15(水) 15:57配信

産経新聞

 裁判員候補者に選ばれながら辞退した人の割合(辞退率)は上昇傾向を続けている。地裁に呼び出しを受けた裁判員候補者のうち選任手続きに出席した人の割合(出席率)は、平成30年にようやく低下傾向がやや改善したが、無断で欠席する人はなお3割超に上る。

 22年に53・0%だった辞退率は、施行3年の24年に61・6%に上昇。30年は67・0%で、最終的に8万5000人超の辞退が認められた。

 裁判員法は「70歳以上」や「学生」「5年以内に裁判員や検察審査員などを務めた人」は辞退を認めているほか、「重い病気やけが」「介護・子育て」などやむを得ない理由がある場合も辞退可能としている。

 辞退は、候補者名簿記載通知や選任手続きへの呼び出し状に同封された書類で申し出ることができるが、辞退を認めるかどうかは地裁が判断する。認められなかった人や辞退理由がない人は、選任手続きへ出席しなければならない。

 ただ、無断で手続きを欠席する人が後を絶たないのが現状だ。出席率は22年に80・6%だったのが低下を続け、29年は63・9%まで落ち込んだ。

 ある女性経験者(53)は手続きの様子を「用意された席のうち3割くらいが空席だった。まさか無断欠席する人がいるとは思っていなかったので驚いた」と振り返る。

 危機感を持った最高裁は辞退率、出席率に関する調査を委託。29年5月に公表された報告書では(1)予定されている審理日数が年々増加している(2)非正規雇用の増加など雇用情勢が変化している(3)高齢化が進んでいる(4)制度に対する国民の関心が低下している-などが背景にあると結論づけた。

 実際、裁判員候補者に事前に伝えられる審理予定日数の平均はこの10年間で増え続けている。22年は4・2日だったのが、29年は6・5日に。30年は6・4日となったが、制度導入初期と比べると裁判員の負担は大きくなっている。

 無断欠席を減らそうと、各地の地裁では29年夏ごろから、期限までに同封書類を提出していない候補者には返送を依頼する書類を送るなどの取り組みを実施した。その結果、30年は出席率が微増したが、同時に辞退率を押し上げたとみられる。

 最高裁は「これまで裁判員選任に具体的に支障が出たケースはない」として、広報活動などで国民の関心を高めていく考えだ。

最終更新:5/16(木) 12:21
産経新聞

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