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遺伝性がん「家族性大腸ポリポーシス」と生きて 息子の幸せを願う母が遺した手紙

5/15(水) 11:02配信

BuzzFeed Japan

”雅也君が私の子供としてこの世に生まれてきた 

それはとてもすばらしくこのうえないよろこびです

だけどそれは一方であなたに苦しみをあじあわせる事かもしれない

でもね 考えようひとつでどうにもなる事です

あなたが私と同じ病気をするなら やっぱり親子だなぁーと思ってください

お母さんが頑張ったんだから自分も頑張ろうと考えて下さい

お母さん元気だったでしょう? やる気だったでしょう?

雅也君にできないはずないじゃない ネ”

息子が幼い頃からそんな遺書を書いて死を覚悟していた母が、相次ぐがんを乗り越えながらも、2018年1月、58歳で命を終えた。

遺伝性がんのひとつ、家族性大腸ポリポーシス(FAP)。親から子へ50%の確率で遺伝し、その遺伝子変異を受け継ぐと、ほぼ100%の確率でおびただしいポリープが大腸にでき、大腸がんを発症する。消化器などその他の臓器にも繰り返しできやすくなる。

母と同じ体質を抱え、一人残された山崎雅也さん(37)は、病気とうつに苦しみながらも、母からの手紙を支えに今日も生きる。
【BuzzFeed Japan Medical / 岩永直子】

母方の祖父、母の姉も同じ病気で死亡

山崎さんの母、恵子さんの父は41 歳で、姉も23歳で大腸がんによって亡くなった。当時はこの体質を引き起こす遺伝子変異を検査することもできなかった時代だ。

不安を抱えながら、恵子さんは16歳で准看護師になり、広島で働いていた。22歳の時に、結婚はせず、一人で産んだのが雅也さんだ。

「生まれる前に父は交通事故で亡くなったと聞かされて、一度も会ったことはありません。あとで戸籍を取った時に、父の欄に名前がなく、母が未婚で産んだことを知ったのですが、『嘘ついていたんじゃ。隠しててごめん。けど母さんは母さんじゃけえ』と言われてそれ以上は聞けませんでした。母と二人きりで生きてきました」と山崎さんは言う。

1988年、恵子さんが28歳の時、職場の健康診断で大腸の精密検査を受けるように言われ、内視鏡検査で調べた。大腸におびただしい数のポリープができていた。調べると大腸がんだった。

その時に医師とはこんなやりとりがあったという。

「ご家族で大腸がんで亡くなった人はいますか?」

「姉と父です」

「お子さんの大腸も調べてください。家族性大腸ポリポーシスの可能性が高い」

母は大腸と直腸を全て摘出する手術を受けた。

その手術の前に6歳だった雅也さんに向けてノートに書いたのが、冒頭に紹介した手紙だ。

「母は死を覚悟したのでしょう。私にノートを書き、自分の親友と実母、つまり私の祖母にも手紙を遺していました」

親友と祖母の手紙には、雅也さんの将来を頼み、病院に行くように指導してあげてほしいと書かれていた。

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最終更新:5/15(水) 12:33
BuzzFeed Japan

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