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「ビザなしの歴史が台無し」戦争発言の丸山議員に元島民憤り

5/15(水) 6:02配信

北海道新聞

あまりに非常識

 北方四島ビザなし交流で、北方領土返還の手段として「戦争」に言及し、14日に日本維新の会を除名処分となった丸山穂高衆院議員(35)の発言に、北方四島の元島民や2世は「交流関係者の思いや歴史を台無しにする」などと批判を強めた。専門家も「国会議員失格」と早期の議員辞職を求めている。

<音声のみ>北方領土返還「戦争しないと」 維新・丸山議員発言

 「ビザなし交流の目的を、みじんも理解していない」。今回のビザなし交流の訪問団員で、丸山氏に直接抗議した歯舞群島志発島民2世の北村浩一さん(59)=北見市=は憤った。

 ビザなし交流は1992年、相互理解を深めて領土問題の解決に寄与する目的で始まった。北村さんは「28年目を迎えたビザなし交流のページが元に戻ってしまうのでは」と懸念。「元島民以外にもさまざまな立場の人が参加していた。国民の代表である国会議員があんな発言をするなんて、許されない」と指摘した。

 国後島民2世の法月(のりつき)信幸さん(61)=根室市=も「戦争を経験した元島民に対する発言として、あまりに非常識」。法月さんらは10年以上前からビザなし交流の枠組みで、2世ら後継者が北方四島を訪問する事業を続ける。「地道に取り組んできたのに、こんなことがあれば台無しになってしまう」と悔しそうに言う。

歴史をまるで理解していない

 「元島民は、戦争に自分の人生や生活を振り回されてきた」。元島民らでつくる千島歯舞諸島居住者連盟根室支部の宮谷内亮一支部長(76)=根室市、国後島出身=は声を震わせた。「その自分たちに対して、戦争で島を取り返せ、と言うのは本当に無神経だ」

 それでも「私たちは、ロシア人から島を無理やり奪うようなことをするつもりは毛頭ない」。ビザなし交流では、訪問先のロシア人に「領土問題が解決すれば一緒に住んでもいい」と言い続けてきた。「相手のロシア人も自分と同じ気持ちだった。(丸山氏は)歴史や思いをまるで理解していない」

政治家の務めは外交

 日本国憲法は9条1項で「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」とうたう。

 「政治家の務めは戦争ではなく外交で、国民の命や財産を守ること。平和主義という憲法の大前提も理解できていないとは、国会議員として論外だ」。北海学園大の岡田信弘教授(67)=憲法学=は厳しく批判した。「戦争がどんな悲惨な状態や苦しみをもたらすか想像せず、軽々しく戦争という言葉を使うのは、ある意味で『平和ぼけ』ではないか」と危機感を強める。

最終更新:5/15(水) 6:02
北海道新聞

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