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「最有力」治験中止のショック 認知症の根本治療薬はなぜできないのか?…岩坪威・東大教授に聞く

5/15(水) 14:10配信

読売新聞(ヨミドクター)

インタビューズ

 認知症の半数以上を占めるアルツハイマー病の根本治療薬として、最も実用化に近いとみられていたアデュカヌマブの臨床試験(治験)を中止すると、共同開発を進めていた製薬大手のバイオジェンとエーザイが3月に発表した。アルツハイマー病の新薬は、臨床試験まで進みながら、有効性が証明できないケースが続いており、期待を集めた最有力候補の”敗退”で、関係者の間に衝撃が広がっている。根本治療薬の開発がこれほど難航するのはなぜか。有望視されていた薬が次々と脱落する中で、どう戦略を立て直すべきなのか。アルツハイマー病の治療法開発に詳しい東京大の岩坪威(たけし)教授に聞いた。(ヨミドクター 飯田祐子)

また遠のいた「第1号」

 ――アルツハイマー病は、脳の神経細胞が少しずつ壊れて認知機能が低下します。アリセプトなど、いま使われている薬は残った神経細胞の情報伝達力を高めて記憶などを助けるもので、神経細胞が減るのを抑えて病気を根本的に治療するものではありません。アデュカヌマブは、根本治療薬の第1号になるのではないかと注目されていました。

 認知症の治療薬の開発は、これまでも苦戦が続いています。ここ数年に限っても、2016年には、製薬大手のイーライリリーがソラネズマブの承認申請を断念。昨年は、メルク(MSD)のベルベセスタット、今年に入ってからはロシュのクレネズマブの臨床試験が中止になっています。

 アデュカヌマブは、少人数を対象にした臨床試験では、認知症の原因とされるアミロイドβ(Aβ)というたんぱく質を脳から取り除いて、認知機能の低下を抑える効果が見られたとして、科学誌のネイチャーに論文が掲載されました。これまでの新薬候補の多くが動物から得た抗体が元になっているのに対し、アデュカヌマブは高齢になっても認知症になっていない人が体の中に持っている抗体を利用していたことなどもあって、関係者の間では「今度こそうまくいくのでは」と、期待が高まっていました。

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最終更新:5/15(水) 14:10
読売新聞(ヨミドクター)

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