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【岡山から伝えたい】「水が来るぞ!」叫びながら自宅へ 倉敷・真備であの日何が、濁流の証言【再配信】

5/15(水) 18:48配信

山陽新聞デジタル

渦を巻く

 地区内4河川8カ所で堤防が決壊した真備町地区。倉敷市は7月7日午前1時半、高馬川のある北エリアへ避難指示を出したが、住民たちは高馬川西岸と、同じく北方向から小田川につながる末政川の西岸の計2カ所が避難指示以前に決壊していたと証言する。

 川幅7メートルほど。末政川の水が逆流して渦を巻く様子を会社員三宅宏始さん(37)=同町有井=は目の当たりにした。小田川合流部から500メートルほどの地点だ。ここで西岸の流失を目にした。7日午前0時すぎだったと記憶している。

 「日頃は穏やかな“小川”。荒れ狂いだして身震いした」。三宅さんによると、末政川からの濁流を受け、あちこちの民家がきしんだり、ガラスの割れたりする音を響かせ、倒れるように流される家もあった。

 地区内を東西に貫き、川幅が200メートル以上ある小田川でも異変が起きた。高馬川との合流部付近で北岸が決壊した。付近の住民たちは、7日午前2時~5時ごろには堤防が破断していたと口をそろえる。当時、浸水深が2メートル以上へと一気に達したためだ。

 西岸が決壊していた末政川は、東岸も2カ所が流失していたことが7日午前6時半~7時ごろに判明する。目撃したのは、末政川に架かる有井橋たもとのタクシー会社で代表を務める平井啓之さん(46)=岡山市北区。直前まで車が行き交っていた東岸側の道路が見る見る浸水し、川に目をやって気付いた。

 6日深夜の高馬川西岸に続き、末政川西岸、小田川北岸から流れ出た水は、市真備支所がある地区中心部(末政川以西、小田川以北)を水浸しに。7日早朝の末政川東岸の決壊により、濁流は被害を免れていた末政川以東ものみ込んだ―。

 住民たちの証言を突き合わせると、深夜から早朝にかけて断続的に堤防が決壊し、時間差で地域に浸水が広がっていったとの推定が浮かび上がってくる。

無力感

 倉敷市では7日午前10時10分までの48時間雨量が267・5ミリに達し、観測史上最大を記録した。小田川が接続する高梁川の水位は同日、12メートル以上となり、氾濫危険水位を初めて超えた。小田川の水が流れ込みづらくなり、影響は小田川や支流の高馬川、末政川にまで及んだのか。

 玉島消防署予防係の大森啓史さん(37)は当直勤務中の6日深夜から7日昼にかけ、住民からの救助要請を受け続けた。<首まで水が迫っている><子ども2人だけでも助けてほしい>…。浸水区域が広範囲に及び、救助に出動しようにも手段がなく、無力感にとらわれた。

 「『屋根の上で耐えてください』『必ず助けにいきます』。そう繰り返すしかなかった」

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 この記事は山陽新聞社とYahoo!ニュースによる連携企画記事です。西日本豪雨の被害の実情と復興の過程を、地元メディアの目線から伝えます。

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最終更新:5/16(木) 12:56
山陽新聞デジタル

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