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ネットで健康食品事業 売薬さん1万人超参加 全配協 年内にECサイト

5/15(水) 5:00配信

北日本新聞

 全国配置薬協会(会長・塩井保彦広貫堂社長、全配協)はネット事業に乗り出す。電子商取引(EC)サイトを年内に開設し、消費者がネット注文した健康食品などを担当エリアの「売薬さん」が届ける。得意先に置いた商品のラインアップを補うとともに顧客開拓につなげる。長年築いた対面による信用と販売網にネットの利便性を融合させ、業界の生き残りを目指す。富山発祥の「先用後利」の姿が大きく変わりそうだ。(経済部・池亀慶輔)

 全配協は全国の販売業者とメーカーで構成し富山市に本部を置く。ネット事業によって個別企業の枠を超えて販売手法の改革に取り組み、配置薬業活性化の起爆剤にしたい考えだ。

 計画では最大で全国300以上の会員事業者の配置員約1万人超が参加する見通し。対象となる得意先は約1200万世帯に上る。

 預け箱を置いていない一般消費者もサイトで注文できるようにする。業者が配達で戸別訪問した際に顧客開拓のきっかけにする狙いがある。

 ECサイトでの商品代金の決済はクレジットカードなどのキャッシュレスで行う計画。これまでは薬や健康食品を使用した後に業者が訪問して代金を回収していたが、ECサイトでは顧客に代金を先払いしてもらう。従来の先用後利の手法にネット通販を組み合わせる。

 サイトで扱う商品は約300種類を想定する。未病対策の健康食品、ご飯やそばといった食品を中心にそろえ、ヘルスケアに関心の高い中高年層を主なターゲットとする。食品メーカーなどと共同開発した独自商品を扱い、ドラッグストアなどで市販されている商品と差別化する。

 他業種の協力を得やすくするため、全配協の会員資格を販売業者とメーカー以外にも拡大する。銀行やIT企業、食品メーカーなどに参加を呼び掛け、配置薬の販売戦略を練る会議を毎月開く。

 配置薬業は「富山のくすり」を象徴する伝統産業だ。しかし、担い手不足や生産額の減少傾向に歯止めがかからず、市場縮小が続く。塩井会長は「配置薬業も時代に合わせて変わらねばならない。対面販売の強みを生かしながらネット社会に対応し、売り上げを伸ばしたい」と話した。

■先用後利 「用いることを先にし、利益は後から」とする越中売薬の基本理念。創業した江戸時代から300年余りにわたって受け継がれている。消費者の家庭に薬を置いてもらい、使用した分だけの代金を後に回収する。「用を先に利を後にし、医療の仁恵に浴びせざる寒村へき地にまで、広く救療の志を貫通せよ」という富山藩2代藩主・前田正甫(まさとし)の訓示が出典とされる。

北日本新聞社

最終更新:5/15(水) 5:00
北日本新聞

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