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中国、人民元防衛で米国債売却余儀なくも-対米報復としてではなく

5/15(水) 14:04配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 中国の米国債保有残高は約1兆1000億ドル(約120兆円)に上るが、中国が米関税措置への報復としてその一部を売却することはまずあり得ないと、しばしば指摘されてきた。そうした行為は核攻撃のような最終手段であり、米経済よりも中国経済に大きな被害をもたらすと考えられている。

しかし、世界の金融市場に緊張が広がり、人民元の下落に歯止めがかからなくなれば、中国は米国への報復としてではなく、通貨防衛のため15兆9000億ドル規模の米国債市場で自国保有分の一部売却に動く可能性はある。米中貿易摩擦の激化に伴い、オフショア人民元は今月に入り2.4%下落し、昨年12月以来の安値を付けた。オフショア人民元は香港時間15日午前10時17分(日本時間同11時17分)時点、1ドル=6.9053元とほぼ変わらずだった。

1件のツイートをきっかけに、米中通商対立の中で米国債が武器として使われるのではないかとの不安が台頭した。ある中国人ジャーナリストが13日に投稿したもので、同国の学者が米国債「売却の可能性を議論している」という内容だった。このツイートは、物別れに終わった先週末の米中交渉の後に投稿された。中国政府は13日、米政府による直近の追加関税引き上げへの報復として、米国製品の一部に対する関税引き上げを発表した。

コロンビア・スレッドニードル・インベストメンツの債券グローバル副責任者、ジーン・タヌッツォ氏は「中国の米国債売却は1つのリスクだが、米関税に対抗する報復というよりも、自国通貨管理としての要素が強いだろう」と指摘。報復ではないが、「資本勘定からの流出が当局の望むものより大きくなり、人民元を防衛する必要が生じれば、米国債を売らなければならなくなるだろう」と語った。

マッコーリー・セキュリティーズは、資金の国外流出や一段と急激な下落につながりかねないことから、人民元安が制御不能となるような事態を中国当局が容認する公算は小さいと分析する。中国当局は2016年、海外への資本逃避によって元相場が7%近く下げた状況にあって、当時の保有残高の15%に相当する1880億ドル規模の米国債売却に踏み切った。

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最終更新:5/15(水) 14:04
Bloomberg

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