ここから本文です

東京パラ(7)パワーリフティング 西崎哲男選手 力強さとバランスで限界に挑む

5/16(木) 9:57配信

福祉新聞

 リオデジャネイロ2016パラリンピック競技大会のパワーリフティング54キロ級に出場するも、惜しくも「記録なし」に終わった西崎哲男選手(42)。2020年東京大会出場へ向け、静かに闘志を燃やしている。

 01年4月、交通事故による脊髄損傷で、でん部から下の感覚がなくなった。車いす生活を余儀なくされたが「周囲がそれまでと変わらない態度で接してくれた」ことで吹っ切れた。

 事故から2年後には陸上競技をスタート。北京(08年)、ロンドン(12年)大会を目指すも出場はかなわず、一度は競技から身を引いた。

 東京2020大会開催決定の報が転機となる。「支えてくれた人たちに恩返しがしたい」と一念発起。「自分にとっては身近な競技です」と話すパワーリフティングに種目を変更し、13年9月に現役復帰を果たした。

 パワーリフティングは、力自慢の下肢障害の選手たちが自分の限界に挑みベンチプレスを上げるというシンプルな競技。他の種目と異なり、障害の程度によるクラス分けがなく、男女とも各10階級の体重別で競う。

 入場から既に試合が始まるのが特徴だ。審判の合図とともに入場し、ベンチプレス台に移動、準備を整えてバーベルを持つまでの時間制限2分を守らなくてはならない。

 審判の「試技開始」の声で、選手は胸までバーを下げて静止。左右バランスをとってバーを押し上げ腕を伸ばす。両足で踏ん張ることができないため、より上半身の力強さやバランスが必要になる。

 「世界トップレベルの選手になると、この一連の動作が美しい」と西崎選手は話す。自分の体重の3倍近いベンチプレスを、その重さを感じさせずに上げ下げする姿は胸に迫る。

 さらに「入場から準備までの間に、気合いを入れたり、集中したり、選手の熱や緊張が伝わると思います」。会場が一体となって競技に没頭するシーンは見逃せない。

 4月に京都で開かれた公式戦で、日本記録となる142キロを上げたが「東京大会の出場枠は10人。その中に確実に入るには、150キロは上げたい」と意気込む。7月のカザフスタンでの世界選手権で、さらに成長した姿を見せてくれるだろう。

 普段は、商業施設や博物館などの空間デザインを手掛ける(株)乃村工藝社の社員として働いている。「東京2020大会のときには、娘は9歳になるんです」と笑顔をこぼすお父さんの一面も。本番で家族にかっこいい姿を見せることができるだろうか。

最終更新:5/16(木) 9:57
福祉新聞

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事