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都会で見直される「土」、ファミリー農園は8年待ちも 世界と比べてわかる日本の土のクセっぷり

5/16(木) 11:32配信

GLOBE+

都会で「土」が見直され始めている。東京近郊ではファミリー農園が人気を集め、世田谷区などでは6~8年待ちといった人気ぶり。利用者からは「土に癒やされる」といった声も多い。ただし、日本全体でみれば耕地の減少、農家の減少はいまも続いている。複雑な環境に置かれている日本の土だが、世界的に見ると、農業に向いた侮れない実力の持ち主でもある。

シャンシャンシャンと癒やされる

東京都千代田区の旧中学校校舎の屋上では、いま約25組が小さな「農地」でベビーリーフやじゃがいも、チンゲンサイなどを育てている。

合同会社コマンドAが運営する施設「3331屋上オーガニック菜園」。「3331」は「シャンシャンシャン……」の江戸一本締めに由来する。

担当の米窪由樹子さん(40)によると、利用者の6割が小さい子どもがいる家族で、「土に触れさせたい」というのが一番多い理由という。

公営の農園の人気も高い。世田谷区では1区画15平方メートルで900余りを「ファミリー農園」として2年間約2万2000円で区民に貸し出している。高齢者を中心に申込者が多く、抽選の倍率は昨年は5・3倍だった。6~8年待ちもあるという。

こうした施設でも、「子どもたちのために」という声は多い。武蔵野市の市民農園で4月の日曜日に、9歳の息子と一緒に農作業をしていた会社員男性(41)は「食育の一環で借りて2年目。子どもは土いじりで虫を探したりして楽しんでいる」と話していた。

市内に住む小笠原由里子さん(51)は高校生の息子達也さん(16)と土を掘り起こし、うねを作る作業をしていた。高校で機械の勉強をしている達也さんは「こうやって土に触れていると、気晴らしになる」とせっせとシャベルを動かした。

土いじりは、人間の心に「癒やし」を与える効果もあるといわれている。米国などでは第2次世界大戦後から、心や体を病んだ人たちのリハビリとして園芸が使われてきた。日本でも、精神を穏やかにするなどの効果があると言われ、園芸を治療に取り入れている精神科病院や高齢者施設もある。

埼玉県飯能市の飯能老年病センターでは敷地内に農園を作り、主に認知症の患者に園芸療法を取り入れている。中度の認知症の患者を対象に週1回、農地でキュウリやトマト、スイカなどを栽培し、収穫して食べているという。作業療法士の大塚守さん(46)は「畑に行って興奮する方を見たことがない。逆に落ち着いたり集中したりする」。「水耕栽培でもよいのでは?」と聞くと、「農業をやっていた人は過去の経験を思い出すし、やっていなかった人も雑草取りなどで貢献できるので、土の方がいい」と返ってきた。

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最終更新:5/16(木) 11:32
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