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レズビアンのママが男性と「家族」に。決めたのは3人の息子たちだった。

5/16(木) 17:27配信

ハフポスト日本版

「ご都合がよろしければ、9月30日の夕方から、結婚式ならぬ“家族式”のパーティをするので、お誘いしたく……」

ある日筆者のもとに届いた招待のメッセージだ。「家族式」って、何?首をひねりつつも参加することにした。面白そうだ。

誘ってくれた友人は、東京都青梅市でシングルマザーとして3人の息子を育てる島田彩さん(37)。過去に男性と結婚したこともあるが、現在は子どもたちにも周囲にも、レズビアンであることをオープンにして生きている。職業はソーシャルワーカー。忙しい本業の傍ら、同性婚の法制化をめざすNPO法人EMA(イーマ)日本の副理事長も務める。

彩さんが「近所の知人の男性と、家族になることにした」という話は、しばらく前に、本人から聞いていた。

なぜまた、女性ではなく、男性と家族になろうと決めたのか?

彩さんにとっても、それは当初、思いもよらない話だったという。

母は寝耳に水だった

島田家の新家族となる“たむちゃん”こと田村礼二さん(50)と彩さんが初めて顔を合わせたのは、2017年の12月。地元で行われた餅つき大会の打ち合わせのときだった。

彩さんは子どもが通う小学校のPTA地区委員長として、たむちゃんは地域のサークル員としてイベントにかかわり、顔見知りに。

たむちゃんはもともと子どもとかかわる地域活動に長く携わってきたため、その筋では有名人。遊ぶことが上手なため、子どもたちの間でも一目置かれる存在だった。

年が明けて間もなく、彩さんの家の石油ファンヒーターが故障する。このとき連絡を受けたのが、近所に住むたむちゃんだった。彼は手先が器用な趣味人で、家電の修理はお手のもの。ストーブを引き取りに来たたむちゃんは、このとき初めて、島田家の子どもたちと知り合いになった。

季節が替わり、5月。地元のお祭りで、たむちゃんは彩さんの三男(当時8歳)から唐突に、しかも想像もしたことがない提案を受ける。

「たむちゃんに、家族になってほしいと思ってるんだ」

たむちゃんはこのとき、「とにかく驚いた」という。

「彩ちゃんちの子どもたちとは、修理の後も何度か顔を合わせて、一緒に遊んだことはあったけれど、特別親しくしてきたわけでもない。それに僕は基本、一人でいるのが好きで、これまでずっと独身で暮らしてきたし、一生それでいいと思ってきたので」

それなのに……三男からの申し出を「すごく、嬉しい」と感じていたという。

「言われてみて、心のどこかで『家族が欲しいな』と思っていたこと、どっかで『一人は寂しいな』と思っていたことに、気が付いたんですね」

三男の申し出は、彩さんにとっても寝耳に水だった。事の次第を知ったのは、三男からでもたむちゃんからでもなく、地元のNPOの関係者からだった。

「『三男くんがたむちゃんに家族になってって言ったそうだけど、知ってた?』って聞かれて。『えええええっ、なにそれ、なんにも知らない!』って答えたら、みんなに笑われて(笑)。しかも、たむちゃんがすごく喜んでいたと聞いて、またびっくり。ふつう迷惑でしょ? それ、喜ぶ? と思って」

次に浮かんだのは「なぜ、たむちゃんはそのことを、私に言わなかったのか?」という疑問だった。たむちゃんは、彩さんがレズビアンであることを知っている。

三男の思いつき、ということにして軽く流そうかとも考えたが、「たむちゃんが何も言ってこないということは、もしかすると、この話を真剣に受け止めているのではないか……?」。そう気付いたら、真面目に考えざるを得なかった。

「そこから私は、自分のなかにある『ふつう』と、向き合わざるを得なくなって。なんで私は、たむちゃんと家族になれないと思うんだろう? 三男の気持ちに寄り添って考えるとしたら、何が足りないんだろうって。だから、たむちゃんにも三男にも何も聞かず、ひとりでじっくり考えました」

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最終更新:5/16(木) 17:28
ハフポスト日本版

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