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欧州鉄道事件簿(オランダ こそ泥編)

5/17(金) 11:12配信

47NEWS

 オランダ鉄道の主要駅はユニークで洗練されている。東京駅に似た赤レンガのアムステルダム中央駅、駅舎の天井近くをトラムが走るハーグ中央駅。前衛的な外観のロッテルダム中央駅、国際空港と国際駅が一体化したスキポール空港駅―。しかし、感心していると痛い目に遭う。犯罪の手口も洗練されているのだ。

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 2018年10月29日白昼、ロッテルダム中央駅発快速。同駅発車前の数人しか客がいない車内で、私は取材道具一式を詰めたバックパックを盗まれた。前後の背もたれと、開かない窓と私自身で四方を囲む隣席に置いたのに、こつ然と消えたのだ。

 気づいたのは下車予定のスキポール空港駅に近づいた頃だ。この時、私は駐在するベルギー・ブリュッセルからノルウェーへの出張途中。パソコン、カメラ、望遠レンズ、ICレコーダ、パスポート、記者証、クレジットカード、名刺入れ…。これらを入れたバックパックさえあれば、スキポールから乗る飛行機でスーツケースが目的地に届かなくても仕事はできる。そんな考えが裏目に出た。

 ブリュッセル・スキポール間は高速鉄道タリスで直行可能だが、時間が合わず、別の高速鉄道ユーロスターでロッテルダムへ行き、快速に乗り換えた。ロンドンと欧州大陸を結ぶユーロスターは半年前、ブリュッセル線の一部をアムステルダムまで延伸したばかりだった。

 しかしなぜ、ガラガラの車内で―。衝撃が収まると、発車前に男が話しかけてきたのを思い出した。「この列車はブレダ(オランダ南部の都市)に行きますか」と。

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 ロッテルダム中央駅に引き返した私は、ホームのゴミ箱にも落とし物係にもバックパックが見当たらないことを確認した上で、近くの警察署へ。前回ロシア強奪編のサンクトペテルブルク警察と違い、看板も、受付も、笑顔もあった。

 「男はどんな人物でしたか」。警官が英語でたずねる。「顔は覚えていません。英語がうまくなかったので、移民系では」と私。「車両は前向き2人掛けの席が通路の左右に並ぶタイプ。私は後から2番目の通路側席に座り、バックパックを窓側席、スーツケースを足元に置きました」

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最終更新:5/17(金) 11:12
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