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“量産”に使える金属3Dプリンタ、カギとなる技術を三菱重工工作機械が開発

5/17(金) 13:00配信

MONOist

パウダーDED方式の弱点をカバー

 三菱重工工作機械が現在注力しようとしている金属3Dプリンタは、金属粉末を吹き付け、それにレーザーを当てて溶かして形を造形するパウダーDED(Directed Energy Deposition)方式とされるものである。しかし、金属が高温で溶ける際に、空気中の酸素と化学反応をして酸化し、酸化物となると積層部分がもろくなり、精度の高い造形ができなくなるという課題があった。

 これらを防ぐために、従来はチャンバーなどで全てを覆い、酸素が入らないようにして造形してきた。ただ、これではチャンバーなどにより機器設置スペースが大きくなる他、費用なども非常に大きくなる。

 これらを背景に、三菱重工工作機械が開発したのが「ローカルシールド機能」である。これは、造形時に酸素が入るのを防ぐために、ガスを吹き付ける「シールドガス」を三菱重工工作機械が発展させたものだ。単純にガスを吹き付けるだけであれば、酸素が入り込んでしまうが、「ローカルシールド機能」は三菱重工工作機械が得意とする流体解析技術を活用することで、ガスを吹き付けた際の空気の流れを解析し、限りなく酸素が入り込みにくい吹き付け方を開発した。これにより通常の大気中でも精度の高い金属積層造形が行えるようになるという。

モニタリングフィードバック機能の価値

 一方の「モニタリングフィードバック機能」も、造形精度に効果を発揮するものだ。金属3Dプリンタで積層造形すると、レーザーで金属を溶かして造形するという仕組みであるため、レーザーの照射部は非常に高温になる。これが熱伝導し、想定と異なる部分が溶けるということが生じ、造形がうまくいかないケースが生まれる。「モニタリングフィードバック機能」では、レーザーによって造形している情報を温度センサーなどを含む複数種類のセンサーによってモニタリングし、その情報を基に、温度が上がりすぎたり、下がりすぎたりするのを自動的にフィードバック制御をかけて調整するという仕組みである。

 3Dプリンタ関連の事業を推進する、三菱重工工作機械 技術本部副本部長 微細加工事業統括 二井谷春彦氏は「温度や画像などの単一の切り口でセンシングして、アルゴリズムを作っているわけではない。複数を組み合わせて最適な結果を導き出すことが独自技術となっている」とモニタリングフィードバック機能について説明する。

 これらの機能は「LAMDA」のオプション機能として販売を進めていく方針だとしているが「既に受注があれば販売できるレベルで仕上がっている」(二井谷氏)という。また、これらの新機能と似たような技術はいくつも存在しているが「実装レベルで実際に使える形で示したのは世界でも初めだ」(二井谷氏)

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最終更新:5/17(金) 13:00
MONOist

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